2012.7.12 カテゴリー|その他の治療について
汗疱の症状
手掌・足底に小水疱が左右対称に出現する。それを放置すると、乾燥してがさがさになる。手だけでなく足に現れる事もあるため、水虫と一緒にされがちだが、菌は存在しないため感染は心配しなくてよい。また、水疱が出現する初期に強い掻痒をともなう。小水疱は融合して大きな水疱になることもある。春・夏に悪化し秋になると軽快することが多い。
汗疱の病態
多汗症の人に多いというが、汗が外に出ず皮膚内のpHが低くなり炎症・湿疹を誘発するものと考えられる。汗疹(あせも)の特徴と湿疹の特徴が混ざりあった病態ともいえる。汗腺自体に異常はなく、その汗腺自体の炎症とは異なる。
つまり、はっきりとした原因はわかっていなかったのですが、「新しい創傷治療」の更新履歴に、「塩分不足が汗疱の原因ではないか?」という仮説が載っていました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new_2012-06.htm
汗をかく⇒塩分が不足する⇒汗疱になる
と考えると、夏に多い理由、多汗症の人に多い理由などが全て説明できます。シンプルで矛盾がない素晴らしい仮説です。
先週、両手足のひどい汗疱の患者さんが受診されました。
3か月前に発症して、うちに来るまでに3か所の皮膚科を受診して、ステロイドの軟膏などを処方されていましたが全く改善しませんでした。
もしかして、塩分不足が原因ではないかとその点について聞いてみたところ。
汗疱を発症する1か月前に心筋梗塞になり、主治医から「塩分摂取を1日6g以下」にするように制限されたそうです。
もともと汗かきで、かつ屋外で働く肉体労働者で、昨夏までは脱水にならないように、塩をなめながら仕事をしていたそうです。
「塩分不足が原因でしょう。」と説明したら、すごく納得がいったようでした。
「汗で喪失した分の塩分を補給しないと、脱水症にもなってしまうので、もう少し塩分を摂取したほうがいいでしょう」
と説明しました。