2025.06.05 カテゴリー|その他の治療について
最近の整形外科医はレントゲンやMRIなどの画像診断に頼っていて、触診や視診をやらない傾向があります。
近頃のはやりのオンライン診療なんて、画面越しに話を聞くだけで診断して薬を出しちゃうみたいです。
私は前から「それって医者としてどうなの?」と思っていました。
ちょっと前の話です。
10歳くらいの男の子が、1週間くらい前に転んでから左股関節が痛いと、日曜日に当院を受診しました。
触診をしたら陰嚢周辺に圧痛を認めたので、「鼠蹊ヘルニアとかかもしれないから」と説明して、すぐに総合病院の救急外来に紹介しました。
数日後に、患児のお母さんからお礼の電話がありました。
「総合病院の救急外来でも対応できないので、緊急でこども病院に搬送されました。検査の結果、精巣捻転症でした。もう少し遅かったら精巣を摘出する必要があったそうです。先生のおかげで一生のキズを負わずにすみました。本当にありがとうございました。」
精巣捻転とは、文字通り精巣(キンタマ)がねじれてしまうことです。精巣は、精管、精巣静脈、精巣動脈からなる精索という構造で体とつながっています。精巣がねじれることによって、この精索が締めあげられ、血流の停止がおこります。
25歳以下の若年男性に発症することが多く、突然の精巣痛で自覚します。精巣捻転が発症してしまうと、精巣の血流が遮断しているため一刻も早い治療を必要とします。
私の判断が、少し遅かったら男の子のキンタマがなくなるとこでした。
触診は本当に大事です。
触診、視診が診断学の基本の基です。
オンライン診療で何がわかるだよ。
触診も視診もしないで診断なんか、俺は怖くてできねえよ。
画像診断に頼りきってる整形外科医だったら、レントゲンだけ撮って、「なんでもないですね。様子をみましょう」て説明して、そのまま家に帰しちゃったんじゃないの?
それじゃ、キンタマ無くなっちゃうぜ。
医者なら、ちゃんと触診しようよ。
なんて偉そうに書きましたが、今回私が陰嚢の異常に気がついたのはたまたまです。
タマタマ。
タマタマ。