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手術が必要と診断された鎖骨遠位端骨折を保存的に治療した一例

2022.10.21 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

40代の女性

転倒して受傷しました。

地元の整形外科であまりズレてないから鎖骨ベルトと三角巾で保存的に治療できると言われましたが、1週間後のレントゲンで骨折がズレていたため、手術しないと治らないと言われた患者さんです。

すぐにネットで検索して、当院のブログにたどり着き翌日当院を受診しました。

http://www.nishibori-seikei.com/blog/2013/11/post-340.html

初診時のレントゲンです。

約1センチズレてます。

鎖骨ベルトと弾性包帯7号で骨折を整復しながら外固定しました。

ズレがが約2ミリに改善しました。

鎖骨ベルトと弾性包帯は絶対に外さないように、その代わり腕は痛みがないはんいで自由に動かしていいと説明しました。

1週間後のレントゲンです。

ズレはほとんどなくなっています。

腕を動かした際に骨がカチッと嵌まった感じがあったそうです。

そのまま固定を続けてもらって、治療開始4週間で弾性包帯を外して、6週間で鎖骨バンドも外しました。

治療開始8週間後のレントゲンです。

1ミリくらいズレてますが、骨折部に不安定性も痛みもなく骨癒合が得られています。

激しい運動はあと2ヶ月くらいは避けるように説明して治療を終わりにしました。

 

転位のある鎖骨遠位端骨折は手術固定しないと骨癒合が得られないということが整形外科医の常識です。

この「転位のある鎖骨遠位端骨折に対する鎖骨バンドと弾性包帯を使用した保存療法」はそんな常識を打ち破る画期的な方法です。

この方法を考案したのは私の恩師の一人である佐藤伸一先生です。私が学会で発表して論文を書いて「整形外科mook」という整形外科医むけの教科書にも執筆しました。

しかしおそらく、この方法で鎖骨遠位端骨折を治療しているのは世界中で私と佐藤伸一先生だけでしょうね。

私のような外れ者が執筆した論文など誰も相手にしてくれないのです。それが医学界なのです。

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