2025.07.04 カテゴリー|その他の治療について
うちのばあちゃん(母親)が、内科から出てた血圧とコレステロールの薬を止めたら元気になりました。
元々、元気だっただけど、もっと元気になりました
脚がふらつくとか、脚に力が入らないとか、訴えて当院を受診する高齢者のほとんどが、内科から大量の薬を処方されています。
「薬の副作用だと思うよ。内科の先生に相談して減らしてもらったら。」と説明しますが、ピンとこないみたいです。
まあ仕方ないんだよね。
だいたいの医者は「薬を止めて何かあったら、どうするんだ!」とか言いますからね。
薬を飲んでるせいで、すでに何か起きてるんですけどね。
そこは華麗にスルーしちゃうんですよね。
コロナワクチンに関しても同じことですね。
整形外科関連でも、他院から腰痛に対して、ロキソニン、ミオナール、トラムセット、リリカ、オパルモン、メチコバール、サインバルタと出ていた患者さんがいました。
トリガーポイント注射しながら減薬していきました。
整形外科の患者なら、私が減薬できるんですけど、内科の患者の薬は手が出せないです。
減薬専門の内科医が近くにいてくれるといいのだけれど、滅多にいませんからね。
2025.06.05 カテゴリー|その他の治療について
最近の整形外科医はレントゲンやMRIなどの画像診断に頼っていて、触診や視診をやらない傾向があります。
近頃のはやりのオンライン診療なんて、画面越しに話を聞くだけで診断して薬を出しちゃうみたいです。
私は前から「それって医者としてどうなの?」と思っていました。
ちょっと前の話です。
10歳くらいの男の子が、1週間くらい前に転んでから左股関節が痛いと、日曜日に当院を受診しました。
触診をしたら陰嚢周辺に圧痛を認めたので、「鼠蹊ヘルニアとかかもしれないから」と説明して、すぐに総合病院の救急外来に紹介しました。
数日後に、患児のお母さんからお礼の電話がありました。
「総合病院の救急外来でも対応できないので、緊急でこども病院に搬送されました。検査の結果、精巣捻転症でした。もう少し遅かったら精巣を摘出する必要があったそうです。先生のおかげで一生のキズを負わずにすみました。本当にありがとうございました。」
精巣捻転とは、文字通り精巣(キンタマ)がねじれてしまうことです。精巣は、精管、精巣静脈、精巣動脈からなる精索という構造で体とつながっています。精巣がねじれることによって、この精索が締めあげられ、血流の停止がおこります。
25歳以下の若年男性に発症することが多く、突然の精巣痛で自覚します。精巣捻転が発症してしまうと、精巣の血流が遮断しているため一刻も早い治療を必要とします。
私の判断が、少し遅かったら男の子のキンタマがなくなるとこでした。
触診は本当に大事です。
触診、視診が診断学の基本の基です。
オンライン診療で何がわかるだよ。
触診も視診もしないで診断なんか、俺は怖くてできねえよ。
画像診断に頼りきってる整形外科医だったら、レントゲンだけ撮って、「なんでもないですね。様子をみましょう」て説明して、そのまま家に帰しちゃったんじゃないの?
それじゃ、キンタマ無くなっちゃうぜ。
医者なら、ちゃんと触診しようよ。
なんて偉そうに書きましたが、今回私が陰嚢の異常に気がついたのはたまたまです。
タマタマ。
タマタマ。
2025.05.20 カテゴリー|その他の治療について
先日来た患者さんのお話です。
30代の男性
階段から転落して後頭部を7㎝くらい切って、某救急外来を受診して研修医に、止血のために無麻酔で電気メスで創内部をジュージュー焼かれ、そのまま無麻酔でステープラで縫合を受けたそうです。
処置に2時間以上かかり、その間地獄のような痛みだったそうです。
1週間後、創から膿が出るし微熱が続いているので当院を受診しました。
ステープラは2㎜間隔で刺さっており抜鉤に時間がかかりました。
ステープラを外すと創がぱっくりと開き、中から膿と焦げた壊死組織が大量に出てきました。
局所麻酔をかけ、膿と壊死組織を除去しました。
壊死組織を除くとまた出血してきましたが、皮膚をナイロン糸でしっかりと真皮ごと縫合することで止血できました。
患者さんがなぜこんな目に遭ったかというと、「頭部裂創は無麻酔でステープラ縫合するものだ」という決めつけが研修医の頭にあったからです。
頭部の皮膚は血流がいいので頭部裂創はすごく出血します。
でも皮膚をきちんと縫えば出血は止まります。
局所麻酔をしないから痛みで血圧が上がり余計止血できなくなった。
あんなに深い創がステープラ縫合でくっつくわけない。
あんなに細かくステープラを刺したら血流が悪くなって余計くっつかなくなる。
研修医には経験も知識も無いから知らないのは仕方ないですが、そこは上級医がフォローしてあげないと患者さんがかわいそうです。
一番問題なのは、自分が縫った創のその後を研修医がみられないことです。
自分が縫った創がこんなことになっていたら、そうとうショックを受けて勉強し直すと思うのですが、縫いっぱなしじゃわからない。
こういうことがあるので、救急外来で皮膚縫合してもらったときは、念のため早めに外科や整形外科のクリニックを受診しましょう。
2025.03.04 カテゴリー|その他の治療について
まずこちらの内科医先生のツイートを読んでください。
Dr☕️🛀🫧 @Drfm11
関節リウマチは整形外科じゃなくて、膠原病内科医に診てもらった方が良いと個人的には思う。
関節リウマチは全身の疾患だから、整形外科というよりは内科だよ。
私もこの意見に賛成です。
私はリウマチの患者さんを見つけたら、膠原病内科の先生にすぐ紹介します。
関節リウマチは整形外科医が片手間に治療できるほど、簡単な病気じゃないです。
30年前までは、リウマチは治せない病気だったし、ステロイドを使うか、あまり効かないけど副作用もあまりない抗リウマチ薬を飲ませるくらいしか出来なかったから、整形外科医でもなんとか治療できてました。
しかし、20年前に生物学製剤が出現してから、リウマチは治せる病気になりました。
生物学製剤は効果が高い(値段もすごく高い)反面、副作用も強く、肺や腎臓や肝臓の評価も出来る内科医でないと扱うのが難しい薬です。
膠原病内科医と同じくらい、リウマチや生物学製剤や内科疾患について勉強してる整形外科医なら扱ってもよいと思いますが、私には無理です。
というか、体育会系が多い整形外科医が、優等生が多い膠原病内科医と同じくらいの勉強ができるわけないです。
私のリウマチの患者さんとの関わり方としては、薬物療法は膠原病内科医にまかせて、痛みのコントロールのために関節内ブロックやトリガーポイント注射をしてあげること、症状によって人工関節置換術を奨めてあげることかなと思っています。
2024.11.21 カテゴリー|その他の治療について, 医療に関する迷信
先週見たNHKのクローズアップ現代が衝撃の内容でした。
患者は避けられないのか 医療事故“リピーター医師”の衝撃
https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic139.html
たった8ヶ月で8件もの医療事故を起こした医師の衝撃のレポートです。
中でも、ドリルで馬尾神経を引っ張り出しってしまった術中の動画が悪夢のような衝撃でした。
あれ1回だけで、手術が怖くなって普通は外科医をやめます。
それを8件なんて、本当にヤバいです。
脊椎の手術に限らず、丁寧な止血による視野確保が外科手術の基本の中の基本です。
あんな血だらけで何も見えない状況で、硬膜の近くをドリルで削るなんて、目隠しして高速道路を運転するくらいの狂気の沙汰です。
執刀医だけでなく指導医も相当ヤバいです。
私も勤務医の頃は同様の手術を行っていましたが、必ずベテランの脊椎外科専門医についてもらっていました。
このリピーター医師は、以下の漫画のモデルです。
脳外科医竹田くん
https://dr-takeda.hatenablog.com/
竹田くんは下手くそなのに手術が大好きで、患者さんを次々と壊していきます。
フィクションじゃなくて事実を元にしているから恐ろしいのです。
クロ現や漫画で得られる教訓は、「むやみに手術を勧めてくる医者は信用するな。」です。
整形外科の場合、腰、首の手術は基本的にやらないほうがいいです。
(腫瘍、骨折、感染、脊髄症を除く)
人工膝関節全置換術と人工股関節全置換術は手術成績が良いので、おすすめです。
私自身は自分で手術をするわけじゃないから、「やりたいから」とか「儲かるから」という理由で手術を勧めたりしません。
2024.09.03 カテゴリー|その他の治療について
1%リドカインが入ってこねえよ。
腱鞘内注射、関節内注射、仙骨ブロックが出来ないよ。
医療崩壊だよ。
毒でしかないコロナワクチンの8回目なんかやらなくていいから、絶対に必要な薬剤の流通管理をちゃんとやってくれよ。
厚労省さんよ。
縫合や手術の時に使う1%キシロカインEも入ってこないんだよ。
戦国時代みたいに無麻酔で縫うしかないよ。
現代人には耐えられないよ。
医療崩壊だよ。
厚労省が、長年使用されていて安全性が確認されているいい薬の値段をどんどん下げて、ひとつも効かない危険な新薬の値段を高くしてるから、こんなことになるんだよ。
1%リドカインアンプル5mlの薬価は、それなしでは医療が成立しないくらい重要な薬なのに、たったの59円だよ。
新型コロナウイルス感染症治療薬のレムデシビルの薬価はひとつも効かないのに46,498円もするんだよ。
局所麻酔薬のような重要な薬は、採算とれるくらいまで値段を上げないとダメだよ。
厚労省の偉い人はそんな簡単なこともわからないんだよ。
ちなみにトリガーポイント注射用のネオビタカインはたくさんあるよ。
2024.03.04 カテゴリー|その他の治療について, 医療に関する迷信
ゴルフ仲間の話です。
数年前に甲状腺癌と診断され、5カ所の病院でセカンドオピニオンを受けましたが、どこの医師も検査データを見るだけで触診もしないで、PCの画面を見ながら目も合わせず「癌なので手術と放射線治療を受けたほうがいい」と言っただけだったそうです。
それで現代医療に見切りをつけて枇杷の葉療法を受けて癌は消失したそうです。
この話を聞いたときに私は医師としてどう答えるのが正解だったのでしょう。
ちなみに私の答えは「甲状腺癌は過剰診断されることが多いので、癌ではなくがんもどきだったのかもしれませんね。www」でした。
琵琶の葉療法がどのような治療でどのような効果があるかはよくわかりませんが、民間療法で治る癌は元々治療を受けなくても治る癌だったんじゃないのかな。近藤誠先生が著書「患者よ、癌と闘うな」で提唱しているがんもどきだったんじゃないかなと思います。
癌の話はあまり深掘りすると、癌治療の専門家から抗議が来て炎上するのでこのくらいでやめておきます。
今回の主題は、5カ所のセカンドオピニオン先で、誰も触診もしないで目も合わせなかった問題です。
私が医学生だったのは30年も前ですが、その頃の医学部の臨床実習のメインは診断学でした。問診、視診、触診、打診、聴診のやり方を覚えることでした。
私が医師になってから、MRIやヘリカルCT、内視鏡、血液検査など診断の補助になる技術がどんどん進化していきました。それでも診断のメインは問診、視診、触診、打診、聴診だと思っています。
問診、視診、触診もしないで検査データだけで診断するなら医師が人間である必要はなくAIの方が優秀だと思います。
2024.01.19 カテゴリー|その他の治療について
整形外科では割とよく診る疾患に石灰性腱板炎があります。肩関節にある腱板という平べったい腱に石灰(カルシウム)が沈着して、その石灰が炎症を起こして激痛で肩が動かせなくなる病気です。
患者さんがたくさんいるのに、未だに腱板に石灰が沈着する原因がわかっていません。
医学なんてその程度です。
炎症が起きているので、石灰沈着部にステロイドの注射をすると、劇的によくなることがあります。
テレビレントゲンを診ながら沈着した石灰を吸引する治療法もありますが、患者さんがすごく痛がる割に元の痛みはあまりとれないので、私はやりません。
たまった石灰は何もしなくてもそのうち自然と消えます。
ちなみに私は、石灰がたまる原因を聞かれたときにこう答えます。
「原因はわかっていません。しいて上げれば運が悪い。よく当たる占い師を紹介しましょうか?www」
もちろん相手を見て言いますよ。
これで怒りそうな人には「原因はわかりません。医学なんてその程度です。」と答えます。
2023.12.01 カテゴリー|その他の治療について, トリガーポイント注射
日本整形外科学会から筋膜ハイドロリリースが保険適応申請されています。
その点数2876点、トリガーポイント注射80点の36倍です。
こんなに差があったら、馬鹿馬鹿しくてトリガーポイント注射なんかしてらんないよ。
エコー見ながら生理食塩水注射するだけで28,760円も儲かるなんて、いい仕事だな。
そんな私のつぶやきに対して、滋賀県でトリガーポイント注射をしている松本道明先生が慰めてくれました。
松本道明@michiaki_m
先生、患者負担も増えるわけですから、医療界のダイソーとして薄利多売で一緒に頑張りましょう
😉西堀靖広@ゴルフ大好き整形外科医@borinisi
他院で1人にハイドロリリースしてる間に36人にトリガーポイント注射をすればいいだけですね。
がんばります。
松本道明@michiaki_m
はい、安い、うまい、早い、吉野家の精神で行きましょう😆
10箇所以上トリガーポイントがあるような患者さんがいてはったら、いちいちエコーしてられへんとおもとります(ブギウギ風)
松本先生は本当に尊敬できるいい先生だな。
近畿地方で慢性痛に悩んでいる方は松本先生に診てもらうといいですよ。
そもそもハイドロリリースに3万円近く支払うほどの効果があるのかという素朴な疑問もあります。
痛みの原因が筋膜の癒着であるという仮説は証明されていませんし、生食を注入することで本当に筋膜の癒着が剥がれるのかどうかも証明されていません。
仮説に仮説を重ねた不完全な治療です。コロナワクチンのような危険性はありませんが値段に見合った効果は期待できないと私は思っています。
私の記憶ではハイドロリリースを始めたのは、それまでトリガーポイント注射をしていた群馬県の麻酔科医です。
それに整形外科開業医にエコーを売りたかったエコーメーカーが乗っかって、しきりにアピールして広がったのです。
整形外科医なら実際に手術をする際に筋膜の癒着なんて見たことないはずなのに、みんなあっさりその仮説を信じました。
やっぱり医者って騙されやすいのです。あまり頭が(以下自粛)
ただ、これは保険適応申請しただけなので、審議会で認めて貰えなければ保険適応外のままです。
財務省も厚労省も社会保険料の削減を目指していますので、こんな怪しい治療が保険適応になることはないと思っています。
保険適応になってもやるつもりないけどね。患者さんがいっぱいでそんな時間ないもん。
2023.11.07 カテゴリー|その他の治療について
よく患者さんに「温湿布のほうがいいですか、冷湿布のほうがいいですか?」と聞かれます。
そんなときは「別にどっちでも同じです。患者さんが効くと思う方を使ってください。」と応えています。
通常の痛みは基本的にに温めたほうがいいです。
冷やしたほうがいい痛みは、打撲や関節炎などで腫れているときです。
しかし、温湿布には患部を温める効果はありません。湿布に含まれるカプサイシンの作用で温かく感じるだけです。
冷湿布にも患部を冷やす効果はありません。湿布に含まれるメントールの作用で冷たく感じるだけです。
温めたほうがいいときはホッカイロなどで物理的に温めたほうがいいです。
冷やしたほうがいいときはアイスノンなどで物理的に冷やしたほうがいいです。
湿布や貼付剤は、皮膚を刺激することでゲートコントロール理論の原理を利用して痛みを和らげているのです。
なので、温湿布も冷湿布も効果は一緒です。
ゲートコントロール理論とは、痛みが伝達する途中にゲート(門)があり、痛みの伝わり方をコントロールしているという疼痛理論です。この考え方は、1965年にロナルド・メルザックとパトリック・ウォールによって発表されました。
刺激を伝える神経には、痛覚を伝える細い神経繊維と、触覚による圧力などを伝える太い神経繊維があるとされています。複数の刺激が同時に発生すると、感覚を脳に伝える経路の門番である脊髄は、太い神経からのシグナルを優先的に受け取り、後からくる細い神経からのシグナルに対しては門を閉ざすというのです。
痛いところをさすると痛みを緩和することができるのは、別の刺激が入ることで、痛みのゲートを閉じさせる効果があるためと考えられています。
難しく書いてありますが、簡単に言うと「皮膚を刺激すると痛みがやわらぐ」ということです。
湿布も貼付剤も皮内針もエレキバンもこの原理で効いているのです。
「痛いの痛いのとんでいけ!」も同じ原理です。
ロキソニンテープのCMでは、有効成分が患部に染み渡って効くようなイメージを流していますが、あれはほぼ嘘です。皮膚は人体最大の防御器官かつ排泄器官であって吸収器官ではないので有効成分はほとんど吸収されません。
ピップエレキバンの磁力の力で血流をよくするというCMも嘘です。高校の物理をちゃんと勉強していればそんな現象はおこり得ないことがわかるはずです。
湿布も貼付剤もビリビリするから効くんです。