2023.03.31 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
40代の男性
子供とドッジボールをしていて、ボールが指に当たり受傷しました。
翌日、当院を受診しました。
レントゲン写真で槌指変形(骨性マレットフィンガー)を認めました。
末節骨の基部が折れていることがわかると思います。
このタイプの骨折の場合、骨片が伸筋腱の力でどんどんズレてしまい骨癒合が得られないため手術が必要と言われています。
私も昔は手術をしていました。
http://www.nishibori-seikei.com/blog/2012/09/post-74.html
最近はよほど転位がひどい場合を除いて保存的に治療しています。
プライトンで下の写真のように外固定します。
外固定開始1週間後レントゲンです。
骨片同士が接触していて、関節面の段差もほとんどないため、このまま保存的に治療することにしました。
5週間外固定をして、外固定を外してから2週間後のレントゲンです。
骨癒合が得られました。関節面の段差もほとんどありません。痛みも残りませんでした。
今でも多くの整形外科医が、指の骨折に対してアルフェンスシーネという、手で簡単に曲げられるアルミの板にスポンジがついたシーネ材を使用しています。
アルフェンスシーネは、簡単に曲げたり伸ばしたり出来るので。誰でも外固定ができるという長所がありますが、緩みやすく固定性が弱いという短所があります。あとがさばるので邪魔になります。見た目も格好悪いです。
一方、プライトンは、熱湯で温めて柔らかくしてお湯を拭き取ってから素早く適切な形に加工しなければいけないという短所がありますが、固定性が強く、がさばらず、見た目もかっこいいという長所があります。
アルフェンスシーネでは、固定性が弱く槌指変形(骨性マレットフィンガー)を保存的に治療することが困難でしたが、プライトンなら可能です。
プライトンのような、すごく使いやすくて固定性もよくて軽くて邪魔にならない熱可塑性キャスト材があるのに、指の骨折に対して、いまだにアルフェンスシーネを使っている整形外科医がたくさんいて驚くよ。