2023.11.07 カテゴリー|その他の治療について
よく患者さんに「温湿布のほうがいいですか、冷湿布のほうがいいですか?」と聞かれます。
そんなときは「別にどっちでも同じです。患者さんが効くと思う方を使ってください。」と応えています。
通常の痛みは基本的にに温めたほうがいいです。
冷やしたほうがいい痛みは、打撲や関節炎などで腫れているときです。
しかし、温湿布には患部を温める効果はありません。湿布に含まれるカプサイシンの作用で温かく感じるだけです。
冷湿布にも患部を冷やす効果はありません。湿布に含まれるメントールの作用で冷たく感じるだけです。
温めたほうがいいときはホッカイロなどで物理的に温めたほうがいいです。
冷やしたほうがいいときはアイスノンなどで物理的に冷やしたほうがいいです。
湿布や貼付剤は、皮膚を刺激することでゲートコントロール理論の原理を利用して痛みを和らげているのです。
なので、温湿布も冷湿布も効果は一緒です。
ゲートコントロール理論とは、痛みが伝達する途中にゲート(門)があり、痛みの伝わり方をコントロールしているという疼痛理論です。この考え方は、1965年にロナルド・メルザックとパトリック・ウォールによって発表されました。
刺激を伝える神経には、痛覚を伝える細い神経繊維と、触覚による圧力などを伝える太い神経繊維があるとされています。複数の刺激が同時に発生すると、感覚を脳に伝える経路の門番である脊髄は、太い神経からのシグナルを優先的に受け取り、後からくる細い神経からのシグナルに対しては門を閉ざすというのです。
痛いところをさすると痛みを緩和することができるのは、別の刺激が入ることで、痛みのゲートを閉じさせる効果があるためと考えられています。
難しく書いてありますが、簡単に言うと「皮膚を刺激すると痛みがやわらぐ」ということです。
湿布も貼付剤も皮内針もエレキバンもこの原理で効いているのです。
「痛いの痛いのとんでいけ!」も同じ原理です。
ロキソニンテープのCMでは、有効成分が患部に染み渡って効くようなイメージを流していますが、あれはほぼ嘘です。皮膚は人体最大の防御器官かつ排泄器官であって吸収器官ではないので有効成分はほとんど吸収されません。
ピップエレキバンの磁力の力で血流をよくするというCMも嘘です。高校の物理をちゃんと勉強していればそんな現象はおこり得ないことがわかるはずです。
湿布も貼付剤もビリビリするから効くんです。