2021.12.13 カテゴリー|トリガーポイント注射
60代の女性
1年くらい前から、腰から臀部からふくらはぎにかけての痛みにたいして週1回トリガーポイント注射を行っていた患者さんのお話です。
痛みがなかなか取れないためいつも暗い表情で診察室に入ってきていました。
ところが先月中旬くらいから急に注射に通わなくなりました。
先日、半月ぶりに受診されました。
「久しぶりですね。」と声をかけたら、
「急に痛みが楽になったから様子をみていた。」と別人のような晴れやかな表情で答えてくれました。
肌つやも良くなって、10歳くらい若返ったように見えました。
「何か良くなるきっかけがありましたか?」と聞いたら、
「特にありませんが、しいて言うなら、息子が九州から帰ってくることが決まったことかしら。」と嬉しそうに答えてくれました。
「きっとそれがきっかけですね。俺がどんなに頑張っても息子さんにはかなわないね。」
「でも私、息子が近くにいなくてさみしいとか感じてなかったんですけどね。」
「深層心理の奥の方にある感情は自分でもわからないですからね。何がきっかけでも良くなればいいんです。よかった。よかった。」
アメリカのジョン・サーノ博士は「抑圧され深層心理に押し込められた怒りが腰痛の原因だ。」と著書に書いています。 参考「サーノ博士のヒーリングバックペイン」
「抑圧された怒り」といわれてもピンとこないと思いますが、要するに慢性痛は心因性のストレスと密接に関係していると言うことです。
逆に言えば、慢性痛はちょっとしたきっかけで心因性のストレスがなくなり良くなることがあるということです。
あきらめず前を向いて治療を続けましょう。