2012.11.06 カテゴリー|湿潤療法
80歳の近所の元気なおばあちゃん
両変形性膝関節症による両ひざ痛と、頸椎症脊髄症による歩行時のふらつきで、5年前から当院に通院していました。
ある日、友達に勧められ、鍼灸院を受診しました。
しかし、鍼灸院で右下腿に温熱療法を受けていて、低温やけどになってしまいました。
このおばあちゃんは、頸髄症脊髄症による軽い知覚低下があるため、熱さがよくわからなかったようです。
鍼灸院の先生には「すぐに医者にかかるように」と言われたそうですが、内緒で鍼灸院にかかったことが、申し訳なくて、当院を受診できませんでした。
自分で、オキシドールと、オロナイン軟膏で治療していましたが、1か月経っても、全然よくならないばかりか、かえって悪化してくるので、覚悟を決めて当院を受診しました。
上の写真が、受診時の状況です。創の周囲には厚い瘡蓋が出来ていて、中央部はぶよぶよした不良肉芽になっています。ずっとお風呂に入っていなかったので、周辺皮膚は垢だらけです。
ワセリンとプラスモイストで、まず瘡蓋を溶かしました。
翌日の写真です。瘡蓋も溶けてにくげもきれいになっています。
1か月間、湿潤療法を続けて、きれいに治りました。
この患者さんは、頸椎症脊髄症があります。頸椎症脊髄症は手術をしなければ治らない疾患ですが、この患者さんの場合、高齢であり、またふらつきはあってもグランドゴルフなどもできるので、歩行障害の進行を遅らせるために加圧トレーニングをしてもらっていました。
僕は鍼灸の先生の中に、トリガーポイントに鍼灸治療を行い、整形外科医より上手に痛みの治療をしている先生がいることを知っているので、鍼灸治療に対しては肯定的に考えています。
でも、頸椎症脊髄症や糖尿病性神経障害などで、知覚が低下していて、熱さがわかりにくくなっている方は、このおばあちゃんのようにやけどをしてしまうことがあるので、鍼灸治療を受ける際は、主治医と相談してからのほうがいいでしょう。