2020.4.23 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
12歳の男児
自転車で転んで、変な風に左足をついて受傷しました。
3日経っても痛みが取れないので当院を受診しました。
触診で左第4趾MP関節に圧痛と腫脹を認めました。
レントゲンを撮っても最初はどこが折れているかわかりませんでした。
でも、よくよく見ると、第4中足骨骨頭が外側にくにゃっと曲がっていることがわかります。
こんな骨折初めて見ました。
子供なので自然矯正が期待できるし、関節面には異常が無いので、整復せずにこのままプライトンで外固定して治療しました。
特に問題なく治りました。
ググっても同じような画像が出てこなかったので、珍しい骨折なんじゃね。
2019.12.20 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
89歳の女性
自転車に乗っていて、バランスを崩して右踵を地面に強打して受傷しました。
翌日、当院を受診しました。
右踵骨部に圧痛と腫脹を認めたので踵骨骨折を疑ってレントゲンを撮りました。
しかし骨折はありませんでした。
「レントゲン上は折れてないけど、症状的には折れている可能性が高いです。高齢者の骨折は最初のうちはレントゲンに写らないことがあるので、1週間経っても痛みが続くときは再診してください。」と説明しました。
5日後に痛みが取れないと再診しました。
やっぱり折れてませんでした。
「折れてないから大丈夫だけど、なかなか治らなかったらまた来てね。」と説明しました。
受傷から3週間経っても痛みが残っていたので、再再度レントゲンを撮りました。
折れてました。
踵の骨の先端のに少し内側が白っぽくなっているのがわかるでしょうか。
これは骨髄内仮骨といって、骨折が修復されるときに出来る新しい骨です。
骨髄内仮骨が出来たということは骨折していたということです。
「折れていました。でももうくっついてきているから大丈夫です。」と説明しました。
さらに1週間後受診した時は、踵の痛みは無くなっていました。
念のためレントゲンを撮りました。
骨髄内仮骨がさらに出来ていました。
「もうくっついているから大丈夫だよ」と説明して治療を終了しました。
高齢者や子供の骨折は、最初のうちはレントゲンに写らないことがあるから要注意です。
最初に診察したときに、そのことをきちんと説明しないと、痛みがあるのにほっといて骨がずれたり、よその病院にかかって骨折が見つかって「見逃しだ」と騒がれたりする可能性があります。
今回の件も最初に説明していたから、患者さんにも家族にも納得してもらえました。
最初にわかりやすく説明することが大事です。
2019.10.24 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
私が大学病院での研修を終えて最初に赴任した先が福島県伊達市(旧保原町)にある保原中央病院でした。
整形外科医が私と部長の佐藤伸一先生しかいない小さな病院でしたが、その分マンツーマンでいろいろと教えてもらえて、すごく勉強になりました。
伸一先生は、もともとは埼玉の大きな病院の整形外科部長をしていたのですが、40歳を前に故郷の保原に帰ってきました。
そして、都会の大きな病院をやめて、田舎の小さな病院に就職した理由を私に教えてくれました。
「西堀ちゃんよ。俺はよ、骨折をした地元の子供らにちゃんとした治療を受けさせてあげたくてよ。戻ってきたんだ。」
そんなわけで、伸一先生からは子供の骨折の治療法をみっちりと教わりました。
あれから20年、自分なりに勉強してさらにグレードアップしています。
なので子供の骨折の治療には自信があります。
2019.6.11 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
79歳の女性
1ヶ月くらい前に刈り払い機を使って草刈りをしました。その1週間後くらいから腰が痛くなってきて、内科の主治医を受診して相談したら「きやり腰」と診断されロキソニンと湿布が出たけど全然治らないので、先日当院を受診しました。
ちなみに「きやり腰」は茨城弁で「ぎっくり腰」のことです。
私は高齢女性の腰が急に痛くなったときは、転んだとか重いものを持ったとかの外因がなくてもまず圧迫骨折を疑います。
この女性も、レントゲン検査の結果、第12胸椎と第1腰椎の圧迫骨折でした。
ぎっくり腰は腰やお尻の筋肉が急に痙攣を起こすことが原因です。
なのである程度筋肉がある若い人にしか発生しません。
高齢者にはぎっくり腰を起こすほどの筋肉が残ってないのです。
骨粗鬆症のある高齢女性の腰が急に痛くなったときは99.9%胸腰椎圧迫骨折です。
整形外科でレントゲンを撮ってもらいましょう。
2019.2.18 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
6歳の女の子
遊具から落ちて受傷して、すぐに当院を受診しました。
初診時の右肘のレントゲン(正面像)
初診時の右肘のレントゲン(側面像)
肘関節の少し上(上腕骨顆上部)で骨折していて、後ろ側と内側にずれています。
「肘の骨が折れていてずれています。このままだと曲がってくっついちゃって支障を残すので、局所麻酔をかけてから整復します。うまく整復できないときや、整復してもすぐにずれてしまうときは手術が必要なので、そのときは県立中央病院に紹介します。」と説明しました。
血腫内麻酔をしてから、テレビレントゲンをみながら骨折を整復しました。肘を深く曲げるといい位置に整復できたのでそのままシーネで固定しました。
子供の肘の骨折の合併症に、フォルクマン阻血性拘縮があります。
フォルクマン阻血性拘縮とは、骨折部から出た出血が前腕の筋肉の中に溜まって、筋肉の血の巡りが悪くなり筋肉が壊死してしまう恐ろしい合併症です。
フォルクマン阻血性拘縮のなり始めには前腕の筋肉にものすごい痛みが出ます。
なので、「後から、痛み止めを飲んでも大泣きするぐらい痛がったら救急車を呼んでください。」と説明しました。
幸い、痛みが出ることもなく、再転位することもなく順調に経過しました。
4週間後のレントゲンです。正常な位置でくっつきました。肘の動きもほとんど問題ありません。
上腕骨顆上骨折は少し曲がってくっついただけでも、深刻な変形と後遺症を残すことがあるので、うまく治せて良かったです。