2021.5.21 カテゴリー|その他の治療について
私はホームコースであるスターツ笠間ゴルフ倶楽部の月例杯には可能な限り参加するようにしています。おかげさまでこれまで7回優勝しています。
スターツ笠間の月例杯は参加者も20~30人と少ないので、参加者同士はとても仲良くなります。その月例杯参加者でぶっちぎりで元気なのが、ともに今年75歳になる男性と女性のメンバーです。2人ともラウンド中に1度もカートに乗らず、アップダウンのある丘陵コースをずっと歩いています。
女性メンバーは、ほぼ毎日のようにゴルフをしているし、海外に行ったときなどは1日2.5ラウンドとか平気でやっちゃうそうです。
男性メンバーは、ドライバーを250ヤードくらい飛ばします。一緒にラウンドするとたいてい2打目を私が先に打つことになり情けなくなります。
2人ともモンスター級の元気さです。そんな2人の共通点は、薬を何も飲んでないことです。
元気だから薬を飲まないのか、薬を飲まないから元気なのか。
私は両方だと思います。
血圧でも糖尿でもコレステロールでも、薬を飲み始めると副作用が出ます。でも薬を止めるわけにいかないから、副作用を抑えるクスリを出します。するとその薬でまた副作用が出てとどんどん薬が増えていきます。
中には10種類以上の薬を飲んでいる高齢者もいます。お薬手帳を見ながら「こおたに薬を飲んでたら、薬だけで腹一杯になっちゃうべwww。」と冗談を言いますが、心の中では『こんなに薬を飲んだら体にわるいよなあ。命にかかわる薬以外は一回止めたほうがいいのになあ。』と思っています。でも他医の治療にケチをつけないのが医者の仁義なので思うだけです。たまに口に出ちゃうけどwww。
私は、痛み止めが効かなくて薬を変更するときに以前に出していた薬を止めて、新しい薬を出すようにしています。だって、効かない薬を飲ましていても仕方ないでしょう。
なのに、痛み止めが効かなかったときそれを止めずに、新しい痛み止めを追加するする整形外科医が割とたくさんいます。するとロキソニンとトラムセットとリリカとサインバルタを1度に飲んでいたりします。そりゃ具合が悪くなりますよ。
どんなに良い薬でも飲み過ぎれば毒になります。薬はなるべく飲まないに越したことはないのです。
2021.3.26 カテゴリー|その他の治療について
季節の変わり目なので帯状疱疹の患者さんがたくさん来ています。
帯状疱疹とは、身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)にあらわれる病気です。帯状疱疹は、身体の中に潜(ひそ)んでいたヘルペスウイルスの一種、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって起こります。水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
帯状疱疹の治療で重要なのは早期診断です。なるべく早く診断して、なるべく早く抗ウイルス薬を内服すれば、皮膚炎や帯状疱疹後神経痛の悪化を防ぐことが出来ます。
帯状疱疹特有の皮膚炎が出ていればサルでも診断出来ますが、皮膚炎がなく神経痛しか出ていないときは、筋筋膜性疼痛症候群などの他の痛みとの鑑別が非常に難しくなります。
帯状疱疹の神経痛の鑑別のポイントとしては、ジッとしていてもピリピリやビリビリした痛みがあること、神経支配に沿った帯状の知覚鈍麻や知覚過敏があることなどが挙げられます。
あと意外と重要なのは、患者さんの表情です。帯状疱疹の神経痛の患者さんは顔をしかめて診察室に入ってくることが多いです。
先ほども書いたように、帯状疱疹の治療ではいかに早く抗ウイルス薬の内服を始めるかが勝負なので、私は帯状疱疹の可能性が高いと思った時点で抗ウイルス薬(バルトレックス)を処方します。
また同時に、帯状疱疹後神経痛の治療薬のリリカカプセル25mgを1日2回1錠ずつで処方開始します。帯状疱疹後神経痛も他の痛みと同じで、痛みがひどくなる前に薬を飲んだ方が効くので、2~3日様子をみて痛みが改善しないときはリリカを漸増していきます。
たまに他院で帯状疱疹の治療を受けていた患者さんを診るときがありますが、カロナールとかロキソニンを使って効かないからと後からリリカを処方していることが多いです。そしてリリカも十分な量まで増やさないで経過をみていることが多いです。
これじゃ痛みが残ってしまいます。後からリリカを増やしてもなかなか効いてきません。
はっきり言います。帯状疱疹後神経痛にカロナールやロキソニンは全然効きません。最初からリリカを十分な量まで使用するべきです。
逆に言えば、リリカは帯状疱疹後神経痛以外の痛みにほとんど効きません。帯状疱疹の時に使わないでいつ使うのよ。
2020.11.27 カテゴリー|その他の治療について
自分で言うのもなんですが、私は手術が得意でした。
小さい頃から手先が器用で絵も上手で、図工や美術、技術家庭は常に5段階評価で5をもらっていました。(ちなみに体育と音楽は常に2か3でした。)
恩師である菊地臣一教授に術後カンファランスで「天才だな」と褒められたこともありました。菊地教授が医局員の手術を褒めることは異例のことでした。
医師になって10年くらい経った頃はドクターXくらい自信満々でした。
そんなもんで、開業してからも外来でできる手術はしていました。
でもね、開業医のところには病院みたいには手術が必要な患者さんが来ないわけですよ。
勤務医の頃は毎日手術してましたが、開業してからは2月に1回くらいしか手術しなくなりました。
最初のうちは大丈夫でしたが、開業5年目くらいに手術勘が鈍っていることを感じるようになりました。
ゴルフでも何でもたくさんやっている人の方がうまいからね。
その頃から、腱鞘炎や手根管症候群や骨折の経皮的鋼線固定など、それまで自分でやっていた手術をやらないで、県立中央病院や土浦協同病院に紹介することにしました。
ずっと通っている患者さんからは私に手術して欲しいと頼まれることがありますが、「俺はもう手術が下手になっちゃったから無理だよ。」と言って断っています。
ちなみに、切り傷の縫合や粉瘤の手術は今でもたくさんやっているので、昔よりうまくなっています。心配ご無用です。
2020.7.02 カテゴリー|その他の治療について
たまに受付で「診察なしで薬や湿布だけもらいたい。」と要求してくる患者さんがいますが、当院は診察なしでは薬も湿布だしません。
そもそも現在の保険診療制度の中では、医師の診察なしでお薬を処方することは認められておりません。
まれに診察なしで薬を処方する病院やクリニックもあるようですが、明らかな法律違反だし、症状の変化に気がつかずあわない薬や必要のない薬を処方してしまい、患者さんが不利益を被る可能性があるのでやるべきではありません。
80歳の男性
3ヶ月前に自然と腰が痛くなりました。某整形外科クリニックを受診してレントゲンを撮りました。
「腰の骨が潰れているけど、痛みとは関係ないだろう。」と説明されて痛み止めが処方されました。
そのあと2回ほど診察を受けずに痛み止めだけをもらいましたが、痛みが取れないため通院をやめたそうです。
3ヶ月しても治らないので当院を受診しました。
レントゲン上、第2腰椎と第5腰椎の圧迫骨折を認めました。寝て起きるときに痛いなどの症状から圧迫骨折による痛みと診断し、テリボン皮下注射を開始しました。
この患者さんは、2回目に某整形外科を受診した際に、薬だけもらわずにちゃんと診察を受けるべきでした。
以前にも書きましたが、医師は1回の診察だけで確定診断が出来ることはほとんどありません。1回目である程度の診断をつけて、治療をしてみて、その反応や経過を診て、検査を追加したりして徐々に診断を確定していって、治療方針を決めていくのです。
某整形外科の院長先生だって、痛み止めを出しても全然良くならないなら、もしかして圧迫骨折が進行しているんじゃないかと考えて、もう一度レントゲンを撮ったはずです。そうすれば、もっと早く痛みが楽になっていたはずです。
痛み止めと湿布だけ欲しいだけなら、わざわざ医者にかからずにドラックストアに買いに行けばいいのです。
医者も医者で、診察しないで薬を出すなんて無責任すぎます。
当院では診察なしでは薬も湿布もださないよ。
2020.5.22 カテゴリー|その他の治療について
60代の男性
1年前から顔に皮膚炎が出来て、皮膚科からヒルドイドクリームが処方されていましたが良くならないため、当院を受診しました。
私は以下のように説明しました。
「ヒルドイドクリームはクソです。クリームに含まれる界面活性剤は石鹸と同じです。界面活性剤の作用で塗った瞬間はつるつるになりますが、皮膚の脂が落ちてしまうため、後から帰ってゴワゴワになります。皮膚の脂は皮膚を守ってくれる皮膚常在菌の餌なので、落としてしまうと病原菌が増えて、湿疹がひどくなります。ヒルドイドクリームをやめて、弱いステロイドの軟膏を塗りましょう。」
3日で良くなったそうです。
やっぱりヒルドイドクリームはクソだった。