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「ヒトも皮膚呼吸をする」は迷信

2012.11.13 カテゴリー|医療に関する迷信

 ヒトも皮膚呼吸をすると思っている方がたくさんいるようですが、ヒトは皮膚呼吸をしません。

 

呼吸とは、外気中の酸素と、体内の二酸化炭素を交換することです。皮膚呼吸とは、「体表を用いて行われる外呼吸」のことです。分かりやすくいえば、皮膚で酸素と二酸化炭素の交換をするということです。

 

ミミズやヒルなどの環形動物は、肺やエラを持たず、皮膚呼吸のみで呼吸しています。脊椎動物では、カエルなどの両生類や爬虫類が、肺やエラによる呼吸と併せて、皮膚呼吸も行っていますが、鳥類や哺乳類はほとんど皮膚呼吸を行っていません。

 

肺では、酸素を多く含む外気と、二酸化炭素を多く含む血液が流れている毛細血管が接触することで、濃度勾配に従って、酸素と二酸化炭素の交換が行われます。

 

しかし、人間の体は皮膚で覆われていて、皮膚の外側は更に角質で覆われています。角質は外敵の進入を防ぐためのバリアーで、血液は流れていません。血液が流れていないので、酸素と二酸化炭素の交換はできません。だから、人間は皮膚呼吸できないのです。

 

美容や発毛の分野で、「皮膚呼吸を促して、美肌や発毛の効果がアップする」みたいな、宣伝文句をよく耳にしますが、ヒトは皮膚呼吸をしないので、これらの宣伝文句はインチキです。だまされないようにしましょう。

 

「ヒトも皮膚呼吸をする」というのは迷信です。

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