2012.11.19 カテゴリー|湿潤療法
11か月の女の子
炊飯器の蒸気でヤケドをしました。お母さんがすぐにネットで検索して、湿潤療法の第一人者夏井先生が3月までいた石岡第〇病院を受診しました。最初に当直で診てくれた外科医に、穴あきポリ袋で湿潤療法してもらいました。次に診てくれた非常勤の形成外科医に転院を勧められ、阿見町の某医療センターに通院することになりましたが、そこで受けた治療が、湿潤療法ではなく、従来の消毒とガーゼを使う治療であり、日に日にヤケドが悪化していくので、不安になり、湿潤療法をやっている某クリニックを受診しました。そこで穴あきポリ袋による湿潤療法を受けましたが、それでも、ヤケドが悪化していき、ヤケドの周辺も腫れてきたため、当院を受診しました。
受診時、右手は穴あきポリ袋とペットシートで覆われていました。ただ、穴あきポリ袋を二重に巻いていたため、浸出液がドレナージされておらず、周囲の皮膚は白くふやけていて、ヤケドの表面には膿苔びっちりくっついていて、ヤケドの周りが腫れて熱を持っていました。
過湿潤状態なので、被覆材を、プラスモイストDCに変更して、抗生剤の内服を始めました。上の写真が、その翌日の写真です、1日でキズの状態がかなり良くなったため、お母さんも安心しました。
そのままプラスモイストDCによる治療を続け、2週間で皮膚がきれいにできました。
今後は、ワセリンで皮膚の乾燥を防ぎながら、お風呂でストレッチをしてもらって、屈曲拘縮の予防をしてもらいます。
湿潤療法をするにあたっては、創部を適切な湿潤環境に保つことが一番大切で、創部の状態に応じて被覆材を変更する必要があります。そこが意外と難しくて、経験が必要です。