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腓腹筋のMPSと誤診した陳旧性アキレス腱断裂の1例

2013.1.25 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

30歳男性

 

3か月前にフットサル中に左ふくらはぎに痛みが走り、某整形外科を受診しました。そこで「肉ばなれ」と診断され、2週間外固定を受け、その後湿布で治療を受けていました。

治療で、ふくらはぎの痛みはとれましたが、足首周辺の痛みがとれないため当院を受診しました。

 

上図のように腓腹筋にトリガーポイントを認めたため、腓腹筋の外傷後のMPS(筋筋膜性疼痛症候群)と診断し、トリガーポイント注射を行いました。

その後、通院してきませんでしたが、1月後に再度受診しました。

「最初よりよくなっているけど、まだ痛い」

というので、もう一度、トリガーポイント注射をしました。

その2週間後に再度受診しました。そして、

「最近、アキレス腱のところがへっこんでいることに気が付いた。」

というのです。

 

一瞬、冷や汗が流れました。

触ってみると確かに、アキレス腱が凹んでいます。

念のためエコーで確認してみました。

6158a.jpg

確かにアキレス腱が切れています。

上の写真ではわかりにくいので、線を入れてみました。

白い線で囲んであるところが踵の骨です。

青い線で囲んであるところがアキレス腱です。

6158b.jpg

アキレス腱がばっちり切れているのがわかると思います。

 

アキレス腱断裂を見逃していたことを正直に誤り、水戸協同病院に紹介して手術をしてもらいました。

 

前医の「肉ばなれ」という診断を鵜呑みにしてしまったこと。

筋肉ばかり触診して、アキレス腱をちゃんと触らなかったこと。

などが、アキレス腱断裂を見逃してしまった原因でしょう。

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