2013.10.10 カテゴリー|その他
先日、某薬剤メーカーのMRの女性が面会に来た時の話です。
一通り、薬の説明を受けた後、
「先生、もう一つお話があるのですが、ちょっといいですか」
と聞かれました。仕事の話だろうと思って、
「いいですよ」
と答えたら、実際は自分自身の足の裏の痛みについての相談でした。
『これって診察じゃねぇの?タダで診察を受けるつもりなのか?』
と思い、嫌な顔をしましたが、全然気が付いてもらえず、結局そのまま10分くらい、話を聞かされて、日常生活についてのアドバイスをさせられてしまいました。
医師に話を聞いてもらって、アドバイスをもらったら、たとえ検査や薬や注射を受けていなくても、診察を受けたことになります。
本人に悪気はないのでしょうが、診察を受けたのに、診察代を払わずに帰っていきました。
なんて図々しいのでしょう。食い逃げと一緒です。
私は普段から、会合の席などで、健康について相談を受けても、
「タダでは診ません」
といって、相談を断るようにしています。
けち臭いこと言わないで、ちょっとみてやればいいだろうと思われるかもしれませんが、断るにはいくつか理由があります。
ひとつは医者としての責任です。
話を聞いただけでは、診察室できちんと診察をして、レントゲンなどの必要な検査をしたときのような、きちんとした診断は下せません。
きちんと診断できないのに、適当にアドバイスをするわけにはいかないのです。
一般の方なら、「五十肩はほっとけば治る」とか「膝の水を抜くとくせになる」などの間違ったアドバイスをしても、あまり問題にならないのでしょう。
しかし、医療のプロフェッショナルである医師が、適当なアドバイスをして、もし患者さんに不利益なことが起きたら、責任をとらなければなりません。
もうひとつは、医院に診察に来ている患者さんに対して不公平だからです。
車で何時間もかけて当院に来て診察を受けている患者さんもいます。
日曜日など混んでいるときは、1時間近く待合室で待ってから診察をうけている患者さんもいます。
もちろんみなさん、診察代を払っています。
私にとって、会合でたまたまあっただけの人と、私を信じて診察に通ってくれている患者さんの、どちらが大切かと言われれば、圧倒的に患者さんのほうが大切です。
大切な患者さんに対して不公平なまねはできません。
そんなわけで、私は基本「タダでは診ません」
そこのところよろしくお願いいたします。