2014.4.24 カテゴリー|トリガーポイント注射
70代の男性
15年以上前からある、左手小指側のしびれを主訴に来院しました。15年前、某総合病院で頸椎症性神経根症と診断され、頸椎牽引を受けるように指示され、近所のクリニックで頸椎牽引を数年受けていましたが、そのクリニックが代替わりして頸椎牽引の機械を捨ててしまったので、以後はずっと治療を受けずに様子を見ていました。治療中もその後も症状に変化はありませんでした。
先日、頸椎牽引をして欲しいと当院を受診しました。以前にもブログに書きましたが、当院には頸椎牽引の機械はありません。そのことを告げ、そもそも首のせいの症状かどうかも怪しいので、詳しく診察させていただきました。
症状をよく効くと、左手がしびれているのではなく、時々左の小指と薬指が痙攣するというのです。案の定、前腕の指屈筋群にトリガーポイントを認めました。
「筋肉にできたしこりが原因の症状だから、トリガーポイント注射をすればよくなること、頸椎が原因の症状ではないから頸椎牽引をしても無駄であること」を説明しましたが、いまいち納得がいかない顔をしておられたので、注射はせず湿布だけ処方しておかえりいただきました。きっと、心の中で「某総合病院の先生の診断が間違っているわけないだろう。なにわけのわからないこと言ってんだ」と思っていたのではないでしょうか?
神経生理学的事実として、頸椎で神経が圧迫された場合、筋肉の麻痺が出ることはあっても、痙攣が出ることはありません。なので、頸椎牽引をしても治るはずがありません。