2015.4.03 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
鎖骨遠位端骨折は鎖骨の末端部が折れた骨折です。47年前、Neer博士は論文で鎖骨遠位端骨折を、ほとんど転位がない安定型(Neer分類1型)と折れた鎖骨が上に跳ね上がる形で転位している不安定型(Neer分類2型)に分類しました。そして、安定型は保存療法で治療可能であるが、不安定型は手術をした方がよいとしました。
それ以後、不安定型の骨折に対しては手術が行われてきましたが、15年前に私が当時勤務していた保原中央病院の佐藤伸一先生が不安定型に対する保存療法を発明し、私が学会で発表しました。
1年半前、そのことについてこのブログに書きました。
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/11/post-340.html
それ以後、鎖骨遠位端骨折と診断され手術を勧められ、ネットで調べて当院を受診した患者さんが8人いました。患者さんの住所は、東京都5名、神奈川県2名、長野県1名でした。
8名の患者さんのうち4名は、Neer博士が手術が必要とした不安定型ですが、残りの4名はそもそも手術する必要がない安定型でした。
なぜ、前医は手術する必要がない安定型の骨折に対して、手術を勧めたのでしょう?
多くの整形外科医は、手術の技術を磨くことには一生懸命ですが、保存療法は誰でもできる簡単な治療と馬鹿にして、きちんと勉強しません。だから保存療法に自信がなく、どちらか迷った場合は手術を勧めるようになるのです。
私は、他の医師が手術じゃないと治せないと言っている骨折や捻挫を、手術をしないで治すことに生き甲斐を感じているので、保存療法は得意です。