2016.7.04 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
本日の夏井先生の症例報告より
http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1927/index.htm
左アキレス腱断裂を受傷。〇〇大学付属△△病院整形外科で手術。手術後,傷の治りが悪いと説明され,抜糸直後に傷が開いた
アキレス腱の周囲の皮膚は薄く血流が悪いため、アキレス腱縫合手術後に創が開くことはよくあります。また、アキレス腱はかなり太い腱なので、縫合するためには太くて丈夫な非吸収糸で縫わなくてはいけません。この太い糸が感染源となって創が治りにくくなり、今回夏井先生が提示したような経過になってしまうことが割とたくさんあります。
アキレス腱断裂は、手術しなくても治ります。手術してもしなくてもリハビリ期間と再断裂の確率が同じだったという報告もあります。なので当院ではアキレス腱を手術しないでギプスで治療しています。
当院でのアキレス腱の治療法を提示します。
最初の2週間は足首を最大底屈位でギプス固定します。
(最大底屈位とは、つま先を限界まで下に下げたときの足首の位置です)
次の2週間は足首を自然下垂位でギプス固定します。
(自然下垂位とは、座って足を下げて力を抜いたときの足首の位置です)
最後の2週間は足首を直角に曲げた位置でギプス固定します。
(まっすぐに立ったときの足首の位置ですね)
計6週間ギプスを巻きます。その後に2週間は足首の捻挫用のベルトを巻いてもらいます。
(アキレス腱の再断裂は手術したときもしないときもギプスを外した後の2週間の間に起きることが圧倒的に多いので、患者さんにそのことを説明して、またアキレス腱がまだ治っていないことをうっかり忘れないために捻挫用のベルトを巻いてもらうのです。)
ほとんどの場合、リハビリは必要ありません。
ごくまれに足首が硬くなってしまう患者さんがいますが、その場合は加圧トレーニングをしてもらえば1~2ヶ月ほどで動きは元に戻ります。
ちなみに、手術した場合は100%リハビリが必要になります。なぜなら、手術では腱を引き寄せて縫い合わせるので、どうしてもアキレス腱の長さが受傷前より短くなってしまい、その分足首が硬くなってしまうからです。
今のところ再断裂の症例を経験したことはありません。
もちろん、夏井先生が提示したような術後の創離解や創部感染を起こしたことは一度もありません。
自分がゴルフ中にアキレス腱断裂をしちゃったとしても絶対手術はしません。自分でギプスを巻いて、翌日から普通に働くと思います。