2012.7.23 カテゴリー|その他の治療について
右母指を蜂に刺された患者さんが受診しました。右母指に刺し口があり、右手全体が赤く腫れあがっていました。痛みが強いので、刺し口にケナコルト(ステロイド)5㎎+1%キシロカイン(局所麻酔薬)0.5mlを皮下注射しました。蜂さされは、この注射で痛みも腫れも、速やかに改善します。
蜂に刺されたときに、怖いのは「アナフィラキシーショック」です。以前に蜂に刺されていて、その時の体の中に、蜂の毒に対する「抗体」ができると、2度目に刺されたときに、激しいアレルギー反応が起きて、呼吸が止まってしまう病気です。蜂に刺される機会が多い人は、念のため「蜂毒に対する抗体価」を調べておいたほうがいいでしょう。(この検査は当院でも出来ます。)
先ほどの患者さんですが、当院を受診する前に、某病院の救急外来を受診しています。救急外来では、刺し口を消毒しただけで、内服薬も塗り薬も出してもらえなかったそうです。その上、「蜂に刺されたくらいの人が、みんな救急外来を受診したら、毎日50人も100人も診なくちゃいけない。」と嫌味を言われたそうです。・・・・・・この救急の先生、きっとすごく疲れていたんでしょう。同情します。基本的に救急外来は、すぐに治療しなければ死んでしまうような人の治療を対象としているのに、そうでない方がたくさん来て、救急医はみな疲弊しています。
でも、蜂に刺されたらすごく痛いし、場合によってはアナフィラキシーショックで死亡することもあるので、救急外来を受診してもいいような気もします。この救急の先生も、嫌味を言ったり、刺し口の消毒なんていう、無意味な処置をする時間があったなら、ケナコルトの皮下注射をしてくれればよかったのにと思いますが、この治療法は夏井先生のHPhttp://www.wound-treatment.jp/ を毎日欠かさず読んでいる医師以外は知らない可能性が高いので、仕方ないかな。