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小指の痺れの原因は?

2012.11.07 カテゴリー|その他の治療について

58歳男性

1年くらい前から小指にしびれが出現し、半年前に当院を受診しました。

知覚障害はなく、深部反射の異常もありませんでした。

左肘のレントゲンで肘部管内に遊離骨を認めたので、軽い肘部管症候群と診断しビタミンB12製剤を処方しました。

 

肘部管症候群 http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/cubital_tunnel_syndrome.html

 

2週間後再診した際、痺れが全くよくなっていなかったので、尺骨神経の神経伝導速度測定を行いましたが、肘部管における神経伝導速度の低下は認めず、肘部管症候群は否定的になりました。

 

そこで、MPS(筋筋膜性疼痛症候群)によるしびれを疑い、棘下筋や尺骨手根伸筋などにトリガーポイント注射を行いましたが、痺れは全く取れませんでした。

 

MPS(筋筋膜性疼痛症候群)http://www.jmps.jp/general/whatsmps

 

原因不明の痺れということで、リボトリールやリリカを処方して、4か月間様子を見ましたが、やはり痺れはとれませんでした。

 

2か月くらい前から両手に力が入りにくくなりました。神経学的所見には異状ありませんでしたが、頸椎症脊髄症を疑い、頸椎のMRIを撮りましたが、脊髄に対する圧迫所見は認めませんでした。

 

頸椎症脊髄症http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html

 

そこで、もう一度よく手のひらを診察してみました。すると、両方の中指と小指の手のひら側の付け根に圧痛を認めました。

もしかしたら腱鞘炎(ばね指)による症状なのではないかと考え、それぞれの圧痛部にケナコルトで腱鞘内注射を行いました。

 

腱鞘炎(ばね指)http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/snapping_finger.html

 

1週間後に再診した時には、両手の力が入るようになり、あれほど治らなかった小指の痺れもなくなっていました。

 

小指の痺れも、腱鞘炎が原因だったのです。腱鞘炎の患者さんは、たいてい痛みや引っ掛かり感を訴えてきます。この患者さんは何度聞いても痛みはなくしびれだけだと訴えていたので、腱鞘炎という診断になかなかたどり着けませんでした。腱鞘炎によるこわばった感じを痺れと訴えていたのだと思います。

 

びりびりした感覚の異常のほかに、関節のこわばり、筋力の低下なども「しびれ」と表現する患者さんがいることを、もう一度、頭にしっかり叩き込まなければいけないと反省しました。

 

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