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「交通事故にあうと、後から痛くなる」は迷信

2012.11.12 カテゴリー|医療に関する迷信

 交通事故にあって、痛みも痺れもないのに、「後から痛くなると困るから検査してください」と言って、受診する患者さんがけっこういます。

 

 こういう患者さんが来ると、いつも困ってしまいます。どこも痛くない人の、何を調べらばいいのでしょう。全身のレントゲンでもとればいいのでしょうか?一応、事故の時に痛くなることが多い、首と腰の動きを調べて、痛みによる動きの制限がないことを確認して、「心配ないでしょう。交通事故の痛みが後から来るとというのは、迷信です。」と説明しています。

 

 交通事故にあって、骨折や脱臼など、レントゲンで分かる怪我を負ったときは、事故直後から強い痛みがあるはずです。それ以外の、レントゲンやCTやMRIなどの画像所見で異常がない痛みは、事故による筋肉の痛み(筋筋膜性疼痛症候群)です。要するに筋肉痛です。

 

 事故による筋肉痛には2種類あって、事故の衝撃で筋肉がのばされたことによる筋肉痛と、火事場の馬鹿力による筋肉痛です。通常、筋肉は最大筋力の30%くらいしか使えないようになっています。それ以上の筋力を使うと筋繊維が壊れてしまうからです。しかし、事故にあった場合などは、体を守るために100%の力を発揮します。これを、昔から火事場の馬鹿力とよんでいます。火事場の馬鹿力を出すことで筋繊維が壊れ筋肉痛を起こします。

 

 子供の運動会などで、急に走ったとき、翌日や翌々日くらいに筋肉痛が出た経験がある方はたくさんいると思います。それと同様に、交通事故による筋肉痛も3日以内に出現します。そして、ほとんどの場合、運動会の筋肉痛と同様、1週間くらいで良くなります。

 

 つまり、交通事故の痛みは、通常3日以内に発生します。それより後に出た痛みは、交通事故と関係がない痛みです。

 

 「交通事故にあうと、後から痛くなる」というのは迷信です。

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