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「水疱瘡にはカチリ軟膏」は間違い

2012.12.19 カテゴリー|湿潤療法

12月19日の「新しい創傷治療」の更新履歴に、僕の送ったメールが紹介されました。

http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm


いつものにしぼり整形外科の西堀先生からはカチリについての疑問です。

 

 夜間診療所の外来をしていた時、水疱瘡の子供が来ました。
 以前、小児科の先生から水疱瘡といえばカチリと教わっていたので、カチリを出そうかと思い、カチリについて調べてみたら、

【カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)】
 「カチリ」とも呼ばれ、古くから使われています。防腐、消毒、鎮痒作用のある“フェノール”と、患部を保護し炎症をやわらげる“酸化亜鉛”が含まれています。また、添加物のトラガントは、水分が蒸発後に薄膜を残し、皮膚を保護する働きをします。皮膚のかゆみ、あせも、虫さされなどに用います。
 

 と書かれていました。要するに、亜鉛華軟膏に、フェノールが混ぜてある軟膏と解釈しました。フェノールと言ったら、陥入爪の手術で、爪根を焼き殺す劇薬ですよ。亜鉛華軟膏も、創を乾燥させることで有名な軟膏です。
 こんなもの塗ったら、かえって、傷が深くなって、痕が残りやすくなってしまうのではないでしょうか? 子供は痛くないのでしょうか?

 その子は、元気もよかったし、水疱を痒がってもいなかったので、何も処方せず、自然に治るのを待ちましょうと言って、帰しました。
 僕は、帯状疱疹の人には、フィルム剤を貼って、疱疹を保護して、水疱が破れた場合はハイドロコロイドで湿潤療法をしているのですが、水疱瘡も同じようなやり方でいいのでしょうか?でも水疱瘡の範囲は全身なので、全身にフィルム剤を貼るわけにはいかないですよね。

 水疱瘡の子供には何を処方したらいいのでしょう。
 小児科の先生をはじめ、皆さんのご意見を聞かせて頂ければ幸甚です。

 

 ちなみに私は 「カチリ=乾燥剤」 だと思っています。小範囲の場合はプラスモイスト貼付,広い面積に多発している場合はワセリン基剤の軟膏の頻回塗布をしています。
 なにかいい考えがありましたが,こちらまでお願いします


カチリについておかだ小児科の岡田先生からのメール。

 

 うちのまわりの小児科、内科小児科でも水痘にはカチリを出していますが、私はここ十年近く処方していません。
 コストの問題もあり、プラスモイストというわけにはいかず、ワセリン頻回大量塗布としています
 しかし、「カチリ 水痘」でググるとカチリは水疱瘡に禁忌などがヒットします。ちょっと調べればわかることを漫然と続けている医者がなんと多いことかと思います。
 また、水痘にカチリって研修医時代のオーベンからの口伝でしょう。「水疱瘡 んっ カチリ出しとけ」ってなぐあいで

 

キズに対する消毒や、ヤケドに対するゲーベン軟膏などと同じで、本当は有害なのに、昔からやられているという理由だけで、使われている薬がたくさんあるようです。

「水疱瘡にはカチリ軟膏」というのは迷信です。

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