2013.3.19 カテゴリー|湿潤療法
湿潤療法においては、ヤケドも擦り傷も基本的には治療は一緒です。
創の状態(大きさ、深さ、浸出液の量、感染の有無)などを診ながら、適切な被覆材を選ぶのが腕の見せ所ですが、ヤケドか擦り傷かでは、治療法は変わりません。なぜなら、ヤケドも擦り傷も、受傷機転が違うだけで、同じ皮膚が欠損している創だからです。
しかし、従来の治療法では、ヤケドと擦り傷の治療は全く違います。消毒とガーゼや軟膏での治療は同じですが、ヤケドの場合、2週間で治らなければ、皮膚移植さを勧められます。しかし、擦り傷は2週間で治らなくても、皮膚移植を勧められることはまずありません。
同じ皮膚が欠損している創なのに、なぜ治療が違うのでしょう。それは、ヤケドの治療の教科書に、「2週間たっても治らないヤケドは皮膚移植をしないと治らない。」書かれているけど、擦り傷の治療の教科書には、そんなこと書かれてないからです。
というか、擦り傷の治療の教科書なんて見たことありません。(湿潤療法の夏井先生の著書は別として、)
世の中の多くの人は、「ヤケドは専門家じゃなきゃ治せないけど、擦り傷は素人でも治せる。」と思っているようです。だから、こども救急相談室に、軽いヤケドでも心配で電話してくる親はたくさんいるけど、擦り傷で電話してくる親あまりいないのでしょう。
関連ブログhttps://nishibori-seikei.com/blog/2013/03/post-205.html
ヤケドも擦り傷も、同じ皮膚が欠損している創です。湿潤療法では治療法も同じです。
子供がヤケドしても、そんなに慌てなくても大丈夫です。ゆっくり落ち着いて、前回のブログのフローチャートを参考に応急処置してください。