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いつから悪いのか、しつこく聞きます

2015.3.13 カテゴリー|その他

 いつから痛いのか?いつからできものがあるのか?いつから皮膚炎があるのか?とても重要です。だから、新患の患者さんにはその点をしつこく聞きます。

 たとえば、腰痛の場合、10年前からいたいときと、10日前から痛いときと、10時間前から痛いときでは、診断と治療と予後が全然違います。10年前からなら、すでに慢性疼痛なので、完全に痛みを消すのはなかなか難しいです。10日前からなら、慢性疼痛にまだなっていない可能性が高いので、うまくいけば腰痛を完全に消すことが可能です。10時間前なら急性疼痛ですから、トリガーポイント注射などですみやかに痛みを取れば、慢性疼痛になる可能性はほとんどありません。

 皮下腫瘍もいつからあるのか重要です。10年前からあってほとんど大きくなっていない腫瘍は悪性の可能性が低いですが、10日前からあって、どんどん大きくなっているような腫瘍は要注意です。

 そんなわけで、いつから症状があるのかしつこく聞きます。

 ところが、たいていの人は、「ずっと前からだ」とか「しばらく前からだ」とか「最近だ」とか返事をします。これではよくわかりません。「ずっと前」とか言っていたのに実際は3日前だったり、「最近だ」と言っていたのに実は3ヶ月前だったりすることが良くあるからです。

 なので、「それは何日前ですか、それとも何ヶ月前ですか、それとも何年前ですか」としつこく聞きます。

 あまりしつこく聞くので、怒って帰ってしまう患者さんが、ごく希にいますが、それは仕方ないと思っています。

 

 先日もこんな患者さんがいました。

 

 「今日はどうしましたが?」

 「背中に異物があるんです」

 「異物?????????」

 「異物じゃなくてできものじゃないですか?」

 「ああそうですか」

 「いつからあるんですか?」

 「震災前からです。」

 「じゃあ4年くらい前からですね。じゃあ背中を診せてください。」

 「手術した痕がありまね。いつどこで手術をしましたか」

 「震災前に○○医院で手術しました。」

 「?????、ちょっと待ってください、手術が震災前なら、できものができたのはいつですか?」

 「震災前です。」

 「全部震災前では、わからないので、何年前にできものができて、何年前に手術をしたのですか?」

 「だから震災前。」

 「それじゃ全然わからない。最初にできものに気がついたのは何年前?」

 「じゃあもういいです!」

 と突然切れて、診察室の引き戸をバタンと激しく閉めて帰ってしまいました。

 

 うまく答えられないことを、しつこく聞いたから切れたんだと思いますが、仕方ないですよ。いつから悪いのか正確にわからないと診断も治療もうまくいきませんから。

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