2015.8.21 カテゴリー|ビオチン療法
今日は杏林大学医学部感染症講座教授 神谷茂先生の講演「腸内細菌と疾病」を聞いてきました。
とても面白かったので、ざっくり要点をまとめてみます。
1・200平方メートルという広大な表面積を有する腸管には500~1000種類、数にして100兆個以上の膨大な数の腸内細菌が棲息し、腸内フローラを形成している。
2・腸内フローラは宿主(人間)と共生するとともに、宿主生態や病原微生物へ様々な作用をもたらす。
3・近年、腸内フローラをゲノム解析できるようになった。
4・124人を対象としたゲノム解析で、約330万個の腸内細菌遺伝子が同定された(ヒトの遺伝子数2.6万個)
5・124名に共通していた遺伝子は約38%に過ぎず、124名全員に存在した最近は18種類しかなかった。
6・このことから、腸内フローラは個人によって大きく異なることがわかる。
7・近親者でも、腸内フローラは似ていない
8・食生活が同じだと、腸内フローラは似ている
9・肥満、自閉症、アトピー性皮膚炎、動脈硬化なども腸内フローラと関連性があることが報告されている。
10・偽膜性腸炎の患者に、抗生剤を投与してから健常者の糞便を移植すると9割くらいの人が治る。(抗生剤とプラセボでは3割程度)
11・数年以内に、腸内フローラの解析を誰でも受けられるようになる
面白くてためになる講演でした。
この話から想像するに、掌蹠膿疱症の患者さんでは腸内フローラ内の酪酸菌が少なくなっていると思われます。腸内フローラの解析が誰でもできるようになったら、患者さんの腸内フローラを調べてみたいですね。そうすると、治りが悪い人と良い人の違いが分かるかもしれません。
掌蹠膿疱症の患者さんの腸内フローラが健常者と違うとしたら、偽膜性腸炎と同様に、抗生剤を飲んでから健常者の糞便移植をすれば、掌蹠膿疱症が治る可能性があるんじゃないでしょうか。