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「お話をよく聞く」というのは、患者さんのまとまってない話を黙ってずっと聞く。という意味ではありません

2016.9.08 カテゴリー|その他

当院の目標に

「お話をよく聞いて優しく接します。」

というのがあります。

でもこれは、患者さんのまとまってない話を黙ってずっと聞く。という意味ではないですよ。

痛みに困っている患者さんは、自分がいかにつらいかを伝えるために怒濤のように話し始めます。

しかし、残念ながら、患者さんの時系列もばらばらで、思い込みが入ったまとまっていない話を、何十分聞いても、私の頭には何一つも入ってきません。

だから診断の役に立ちません。

言い方は悪いですが、時間の無駄です。

「お話をよく聞く」というのは、診断のために必要な情報を患者さんから効率よく聞き出す。という意味です。

診断のために重要な事柄から順番に聞くと診断を正確に早く出すことが出来ます。

① どこが悪いのか

② いつから悪いのか

③ 悪くなるきっかけがあったか

④ 症状はだんだん強くなっているのか、ひどくなったのはいつからか

⑤ どういうときに症状がひどくなるのか

⑥ 当院に来る前に他の病院にかかったか

⑦ かかっていれば、どんな診断を受けて、どんな治療を受けたか

⑧ その治療は効いたのか効かなかったのか

⑨ 他に治療中の病気はあるか、お薬は何を飲んでいるか

  (このときお薬手帳が絶対に必要です)

 

これらを順番に効いて、電子カルテに現病歴を入力しながら頭の中で整理して診断をします。

腱鞘炎やぎっくり腰などの典型的な疾病の場合は④くらいまで聞けば診断がつきますが、複雑な病態のときはさらにいろいろ聞かなければいけません。

必要十分な情報を得て診断をつけるには、効率よく聞いてもそれなりに時間がかかるのです。

その後で、触診をしてトリガーポイントを見つけて、必要あればレントゲンを撮ります。

 

話を聞いてもらうだけで、患者さんが安心して症状が良くなることがあることも十分承知しています。

なので、最初の1分間くらいは黙って話を聞くように努力しています。

しかし、私は生まれつき気が短くてせっかちなので、1分間も我慢できないことがよくあります。

 

とにかく誰かにじっくり話を聞いてほしいという方は、あまり当院には向いていないかもしれません。

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