2018.12.06 カテゴリー|その他の治療について
80歳の女性
もう10年近く、腰痛や骨粗鬆症で当院に通院している患者さんです。
2週間くらい前から自然と左手にしびれが出現しました。若い人にインターネットで調べてもらったら、神経内科を受けたほうがいいと書いてあったので、某総合病院の神経内科を受けにいきました。ところが、その病院の新患受付で相談したら「その症状なら整形外科を受診したほうがいい」と言われ、整形外科外来に案内されました。
そこで若い医師の診察を受け、首のレントゲンを撮り、首の骨が神経にさわってしびれが出ていると診断され、リリカが処方されました。
ちなみに、紹介状なしで総合病院を受診したので、健康保険の自己負担の他に5,000円払わされました。
それなのに薬を飲んでもちょっとも良くならないので、1週間後に当院を受診しました。
私は手のしびれの患者さんはまず最初に手根管症候群を疑うことにしています。
案の定、正中神経の神経支配に一致した知覚異常と母指対立筋の軽度の麻痺を認め、典型的な手根管症候群でした。
「馬鹿だなぁ。何で最初に俺に相談しないんだよ。首は変形は関係ないからね。手首のところで神経が圧迫されているせいのしびれだよ。神経や腱の腫れをひかせる注射を手首に打てば良くなるよ。」
と説明して、正中神経ブロックを行いました。1週間後にはしびれはほとんど消えていました。
この患者さんの例からわかる教訓をあげます。
① 何か症状が出たら、最初にかかりつけ医に相談しましょう。
② 紹介状なしに大病院を受診するとよけいなお金(5,000円)を払わされます。
③ 大病院は若い医師の教育機関でもあるので、紹介状なしで受診すると若い医師の練習台にされます。
④ 手のしびれは、まず手根管症候群や肘部管症候群などの末梢神経障害を疑います。最初に首を疑うのはヤ○医者です。
2018.12.03 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
サッカー部の中学生
部活中に転倒して受傷しました。
近くの整形外科を受診して、「右肘の骨が折れているから、肘の上から手首の先までシーネ(添え木)と包帯で固定する。腫れているから、毎日包帯を外して湿布を交換するように。」と説明され、シーネと三角巾で固定されて湿布を処方されました。
両親が、その説明に不安を覚えたため、翌日当院を受診しました。
レントゲン上、肘の内側に剥離骨折を認めました。
「湿布に腫れをひかせる効果なんかないから、湿布交換は意味がありません。むしろ、外したときに骨がずれる危険性があります。また、骨折の形態から手首を固定しても意味がないので、手首は動かせるようなシーネを作り直します。その分、手首や指をどんどん動かしてね。鉛筆を持ってもいいよ。三角巾していると肩を動かさないせいで肩や首に痛みが出るから三角巾でつるしちゃダメだよ。」と説明してシーネ固定しました。
骨折がずれてしまうリスクを冒してまで、シーネを外して湿布を交換する理由がよくわからない。
骨折したところが腫れるのは、骨折した骨から出血してその血液が皮膚の下や筋肉の中に溜まるからです。
湿布にその溜まった血液を減らす効果はありません。なので全く無意味です。
腫れをひかすためには、患部の血の巡りを良くすることが一番です。
指や手首をどんどん動かすと筋肉のポンプ作用で血の巡りが良くなります。
なので、シーネは必要十分な範囲でしっかり固定して、それ以外の部分はどんどん動かしてもらいます。
三角巾を使うと、肩だけじゃなく手首や指も使わなくなるので、やっぱり三角巾も使わないほうがいいです。
湿布には痛み止めとしての効果がありますが、骨折の痛みはシーネ固定をしっかりすれば無くなるので、やはり湿布を貼る意味はありません。
シーネを外して湿布を交換しても腫れは引かないし、骨がずれる可能性があるからやっちゃダメだよ。