2012.12.04 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
82歳女性
膠原病があり、某総合病院のリウマチ科に通院中で、ステロイドを内服中(PSL8㎎/day)のおばあちゃんです。同じ総合病院の整形外科で骨粗しょう症の治療も受けています。
7月末に、草むしりをしてから、右腰痛と右臀部痛が出現しました。上がその時のレントゲンです。第12胸椎から第2腰椎が、つぶれていて圧迫骨折になっています。でも、ここは骨硬化もしてて、古い圧迫骨折と思われました。新しい圧迫骨折は、はっきりしませんでしたが、痛がり方やステロイド内服中などから、圧迫骨折とそれに伴う筋筋膜性疼痛症候群と診断しました。
(圧迫骨折の痛みは、寝たり起きたりする時はすごく痛いけど、1度起きてしまえばあまい痛くなくなるという特徴があります)
「骨粗しょう症がひどい方は、骨折したばかりの時は、レントゲンでどこが折れているかわからないことが多いので、どこが新しい骨折かは、わかりませんが、おそらく圧迫骨折の痛みでしょう。圧痛部にトリガーポイント注射をして、2週間ほど、なるべく安静にしていれば、痛みがとれると思います。」と説明しました。
そして、予想通り、2週間後には痛みがかなり改善しました。
しかし、そのあと、某総合病院の整形外科を受診して際、再度腰椎のレントゲンを撮り、
「4年前のレントゲンと比べて変わっていないので、圧迫骨折ではなく、筋肉痛だ。」と言われたそうです。
それで、しばらく当院には通院しませんでした。
11月末ごろから、また痛みがひどくなり、当院を受診しました。下がその時のレントゲンです。
7月のレントゲンに比べて、第5腰椎がつぶれていて、骨硬化像を示しています。
わかりにくいので、第5腰椎だけクローズアップすると下のようになります。
12月のレントゲン
7月の腰痛は、第5腰椎圧迫骨折が原因だったのだろうと推測できます。今回の腰痛も、おそらく、正常に見える第3腰椎か第4腰椎が圧迫骨折を起こしているのだろうと思われます。某総合病院の診断より、僕の診断のほうが正しかったのです。
ひどい骨粗しょう症のある方は、草むしりをしたくらいでも、あるいは何もしなくても、腰椎圧迫骨折を起こすことがあります。
また、そういう方の、圧迫骨折は受傷直後にはレントゲンに写らないこともよくあります。
圧迫骨折の痛みは、「寝たり起きたりする時にすごく痛いけど、起きてしまえばあまり痛くない」という特徴があります。