2012.12.04 カテゴリー|医療に関する迷信
擦り傷や切り傷や、ヤケドなどの怪我をしたとき、化膿しないために赤チンなどで消毒している方が、今でもいるかもしれませんが、消毒しても化膿は防げません。それどころか、消毒はキズの治りを悪くするので、するべきではありません。
皮膚に傷があると、そこに化膿の原因になるばい菌(黄色ブドウ球菌など)が繁殖します。キズを消毒すると、一時的にばい菌が減りますが、1時間もすると元に数に戻ってしまいます。つまり、消毒してもばい菌の数を減らすことは出来ないので、化膿を防ぐことは出来ないのです。
消毒液は、ばい菌を殺す作用がありますが、それ以上に正常な皮膚の細胞を殺す作用があります。なので、消毒をするとキズの治りは悪くなります。場合によっては消毒することによって、キズがより深くなってしまうこともあります。消毒はするべきではありません。
では、どうすれば創の化膿を防ぐことができるのでしょうか?そもそも、キズが化膿するとはどういうことでしょう?
化膿とは、皮膚の下にばい菌が入り込んで大量に繁殖している状態です。
瘡蓋や壊死組織や皮膚の奥に血腫があると、それを餌にして、ばい菌が大量に繁殖します。なので、瘡蓋や壊死組織を除去し、また、皮膚の下にたまった血腫(血の塊)にはドレーンを入れて、血腫を除去すれば、化膿を防ぐことができます。
逆に言えば、瘡蓋や壊死組織や血腫をそのままにして、その上からいくら消毒をしても、化膿を防ぐことは出来ません。
「キズは消毒しないと化膿する」というのは迷信です。
消毒液と化膿の関係についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのHPをご覧ください。
新しい創傷治療「消毒について」