2013.2.13 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
21歳女性
スノーボード中に転倒して受傷し、某総合病院の救急外来を受診しました。レントゲン上、手首に骨折を認めたためシーネ固定を受け、連休が明けたら整形外科を受診するように言われました。
受傷2日後に当院を受診しました。上図のレントゲンが示すように、手首の近くの橈骨が折れていて、手背側にずれています。このままでは痛みや動きの悪さが残ってしまう可能性が高いので、局所麻酔をしてテレビレントゲンを見ながら整復しました。
下図が整復後のレントゲンです。まあまあの形に戻りました。
今回気になったのは、来院時、患者さんがシーネの包帯を、自分で外して巻きなおした形跡があったことです。
「シーネは自分で勝手に外しちゃダメだよ。」と注意したら、
「救急で診てくれた外科の先生から、シーネが固まったら包帯を外してお風呂に入って湿布を交換するように言われました」との返事
「・・・・・・・・・」思わず絶句してしまいました。
骨折の痛みは、折れた骨がぐらぐら動くことが原因です。動かないようにしっかりシーネ固定することで痛みがとれます。湿布なんて、骨折の痛みに対して、ほとんど何の役にも立ちません。シーネを外して、湿布を交換するなんて、その時に骨がずれてしまうリスクが高すぎます。
また、シーネは包帯の巻き方ひとつで、骨折部の固定性が大きく変わります。(そこがプロの腕の見せ所です)素人が包帯をきっちり巻きなおせる可能性はゼロです。実際この患者さんも、全く役に立たないごじゃっぺな包帯の巻き方をしていました。
骨折やねんざなどの治療においては、受傷初期にしっかりとシーネ固定して、なるべく早く痛みをとってあげることが最も大事です。痛みをしっかり取ってあげないと、慢性痛になってしまい、骨折やねんざが治っても痛みが残ってしまうことがあるからです。
自分でシーネを外して湿布を交換するなんていう、ごじゃっぺな治療法を、いったいどこで習ったのでしょう。
この総合病院の整形外科医からじゃなければいいのですが・・・・・・