2013.6.25 カテゴリー|トリガーポイント注射
60代の男性
ゴルフが大好きなおじさんです。
また、体力づくりとダイエットのため、毎日ウォーキングを6㎞していました。
6年前、ゴルフ中に急に右臀部に激痛が出現しました。
テレビでトリガーポイント注射の特集を見て、当院を受診しました。
右臀部にトリガーポイントを認めたため、トリガーポイント注射をして、すぐに良くなりました。
1年半くらい前に、左臀部にも痛みが出現しました。トリガーポイント注射を2回打った後、治療に来なくなりました。
半年後に、再び、当院を受診しました。
前回受診した後、知人の勧めもあり某総合病院整形外科を受診し、そこで腰部脊柱管狭窄症と診断され、手術を受けたそうです。
手術後、痛みは改善し、一時ゴルフもできるようになりましたが、田植えの準備を手伝った後から、再び右臀部痛が出現しました。
手術医の診察を受けましたが、骨には問題がないと言われ、痛み止めと湿布を貰ったが、全然よくならなかったようです。
トリガーポイント注射を行い、一度はゴルフができるところまで回復しましたが、2か月後にまた痛みが悪化して、それ以後、再び治療に来なくなりました。
風のうわさで聞くところでは、
その後、あちこちの病院を受診して、様々な治療を受けたようですが、症状はよくならなかったようです。
そして、先月、某大学病院で2度目の手術を受けたそうです。
でも、手術後もあまり痛みはとれていないそうです。
この方の様に、腰の手術を何度も受けてもよくならない患者さんをMOB(multiply operated back)と呼びます。
MOBの患者さんは他にもたくさんいます。
なぜ、何度も手術をしても治らないのでしょう。
それは、そもそも必要のない手術をしているからです。
この患者さんは、ゴルフやウォーキングのやりすぎによる筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でした。
トリガーポイント注射で症状が改善していたことからも、それは明らかです。
腰部脊柱管狭窄症ではなかったのです。
手術による儀式的効果と手術時の全身麻酔による筋弛緩効果で一時的に症状は改善しても、その効果が切れると再び痛くなってしまいます。
むしろ、不必要な手術を受けたことにより筋肉が損傷され、MPSは手術以前より悪化してしまいます。
痛みが悪化したのは、前回の手術が不完全だったからだろうと誤診され、また手術をうけます。
すると、MPSはさらに悪化して、どんどん悪くなっていきます。
これがMOBの正体です。
この患者さんも、ドクターショッピング(紹介状もなく勝手に複数の医師の診察を受けること)をせずに、ずっとトリガーポイント注射を続けていれば、今でもゴルフを続けていられた可能性があるのではないかと思います。
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