2014.1.16 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
13歳の男子中学生
昨年の11月末に壁を殴って右手の甲の骨を骨折しました。(第5中手骨頸部骨折)近所の整形外科を受診し、骨がずれていたので無麻酔で整復してもらい手の甲から小指までシーネ(添え木)で固定してもらいました。担当した医師から、「毎日、シーネを外して湿布を交換してください」と指導されたので、その通り毎日シーネを外していました。2週間後にレントゲンを撮ると、骨折がまたずれてしまっていました。担当医は「少しずれてしまいましたが、成長期なので自然と元に戻るでしょう・・・・もごもごもご」と歯切れの悪い説明をしたそうです。それで不安になり、インターネットで検索し、当院のブログを読んで、受診しました。
初診時のレントゲンです。第5中手骨が折れて曲がっています。このような骨折をボクサー骨折とよんでいます。
最初の担当医が言ったように、成長期の場合、成長にともない変形が矯正されるのである程度のずれは許容範囲内ですが、この子の場合、この状態だとグーを握ったときに、小指と人差し指が交差してしまい、うまくグーが握れませんでした。これでは日常生活に支障が残るので、再度整復することにしました。受傷から2週間以上たっているので、もう骨がくっついていて戻らない可能性もあり、その場合手術が必要になることを説明してから、骨折部に局所麻酔をして、テレビレントゲンで確認しながら整復しました。
整復後のレントゲンです。良くなっていますが全く元通りというところまでは戻りませんでした。
しかし、小指と薬指は交差しなくなったので許容範囲内と診断し、このまま手首から中指薬指小指の先端までシーネ固定しました。もちろん「自分では絶対にはずさないように!」と説明を加えました。3週間シーネ固定して、仮骨(骨をくっつける新しい骨)の形成を認めたのでシーネを外しました。
再整復してから5週間後のレントゲンです。仮骨がしっかりと形成されています。
この時点で、関節の動きに異常を認めなかったので治療を終了としました。
以前にもブログに書きましたが、シーネを外して湿布を交換するという治療は、有害無益です。骨折の痛みや腫れをひかせるために湿布を貼るのでしょうが、シーネでしっかり固定すれば、骨折が動かなくなるので痛みは無くなるし、骨折部からの出血がおさまり腫れもひいてきます。シーネを外した時に骨がずれてしまうリスクを冒してまで、湿布を貼りかえる必要なんて全くありません。
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