美肌は菌で作られる
2015.9.30 カテゴリー|医療に関する迷信
某大学の教授が論文にこんなことを書いていました。
「ほとんどお風呂に入らないような地域にはアトピー性皮膚炎の子供はいない、赤ちゃん用石鹸を発売中止にすれば、アトピー性皮膚炎はなくなる。」
世間の常識とかけ離れている意見なので驚いた方もいるかと思いますが、私もこの意見は正しいと思います。その理由を説明します。
目には見えませんが、人間の皮膚の上には、皮膚常在菌という善玉菌がびっしりと繁殖しています。この皮膚常在菌がいることによって、皮膚や人体に害を与える悪玉菌が進入できなくなっているのです。皮膚を健康に保つには、この常在菌を上手に育ててあげる必要があります。常在菌を育てるために必要なのは、皮膚の脂である皮脂です。皮脂は常在菌の栄養になり、また皮膚の乾燥を防ぐことで常在菌が住みやすい環境を作ります。また、皮脂に含まれる脂肪酸は常在菌以外の菌には毒となるので、悪玉菌の繁殖を防ぐ効果もあります。皮膚の健康を守るためには皮脂と常在菌がとても大切なのです。
生まれた直後の赤ちゃんの皮膚には常在菌がいません。お母さんの子宮の中は無菌状態だからです。赤ちゃんはお母さんとスキンシップを取ることにより、お母さんの常在菌を移してもらうのです。常在菌は皮脂を栄養として徐々に繁殖をしていきます。赤ちゃんは常在菌の繁殖がまだ十分でないので、大人に比べて皮膚の病気になりやすいと考えられます。赤ちゃんにとっては皮脂や常在菌は大人以上にとても大切なものなのです。ところが、日本のほとんどのお母さんは、「赤ちゃんにバイ菌がついたら大変だ。」と、毎日、殺菌剤入りの薬用石けんで赤ちゃんの体を丁寧に洗っています。すると、赤ちゃんの皮膚からは皮脂も常在菌も無くなってしまいます。その結果、黄色ぶどう球菌などの悪玉菌にとって居心地のいい皮膚になり、乾燥し、肌があれ、湿疹を起こしアトピー性皮膚炎になりやすくなります。肌に優しいといわれている弱酸性のボディーソープで洗っても、皮脂がなくなってしまうのは同じです。赤ちゃんの肌にいい石鹸などないのです。
では、どうしたらいいのでしょう。簡単です。石鹸を使わずお湯だけでやさしく洗ってあげればいいのです。出来ればお母さんも裸になって抱っこして一緒にお風呂に入れば、お母さんの常在菌を赤ちゃんに分けてあげることが出来るのでより効果的です。汗や垢による汚れは水溶性なので、お湯だけで十分に落とすことが出来ます。もともと石鹸は機械油などの水では落ちない汚れを落とすために発明されたものであって、汗や垢を落とすためのものではないのです。大人の場合も、においの元になるアポクリン汗腺の多い部分、陰部、わきの下、手のひら、足の裏などは石鹸で洗ったほうがいいかもしれませんが、その他の部位については、お湯で流してタオルで拭くだけで十分だと思います。私も実際に実行しています。おかげで冬でも乾燥することなく、つやつやの玉肌を保っています。また、我が家の末っ子は軽いアトピー性皮膚炎だったのですが、石鹸を使わなくなってから、肌の乾燥がなくなりすっかり良くなりました。
肌が乾燥しやすく、汗もあまりかかない冬の間だけでも試してみてはいかがでしょうか。