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左母指不全切断に対する湿潤療法(閲覧注意)

2015.10.26 カテゴリー|湿潤療法

 40代の男性

 仕事中に木材を加工する機械に左親指を巻き込まれ、MP関節の近くで皮膚の一部と屈筋腱を残して不全切断しました。救急病院に搬送されてそこで骨接合術と皮膚の縫合を受けました。その後、徐々に皮膚が壊死してしまい、受傷1ヶ月後にMP関節レベルでの切断を提案されたため当院を受診しました。

 当院初診時の画像です。

11826a.jpg

 MP関節より先が壊死してミイラ化います。

 「治療してみないとわからないけど、湿潤療法ならなるべく長く親指を残すことが出来るでしょう。」と説明して湿潤療法を開始しました。

 まず、壊死してミイラ化した皮膚を溶かすためにワセリンをべったり塗ってプラスモイストで覆いました。

 湿潤療法1週間後の画像です。

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 ミイラ化した皮膚が溶けてきたら、IP関節レベルまで皮下組織が生きていることがわかりました。引き続き同じ処置を続けました。

 湿潤療法開始6週間後の画像です。

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 壊死した皮膚がだいぶ柔らかくなって浸出液も増えたのでプラスモイストで覆うだけにしました。

 湿潤療法開始10週間後の画像です。

11826d72.jpg

 壊死した皮膚はすべて溶けて、末節骨と屈筋腱がむき出しになっています。このまま自宅でプラスモイスト交換を続けてもらいました。

 湿潤療法開始後3ヶ月後に屈筋腱が自然と切れてIP関節で指がぽろりと落ちました。(この時点での画像を撮り忘れました)

 その後も湿潤療法を続けました。

 湿潤療法開始10ヶ月後治療終了となりました

11826m10.jpg

 前医で切断術を受けるよりは約3センチ長く残すことが出来ました。

 3センチ長く残せたおかげで、コップや茶碗を持つことが可能になりました。

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