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抗うつ薬も使いよう

2016.2.01 カテゴリー|トリガーポイント注射

 60代の女性

 30年前から腰痛があり、2年前から両ふくらはぎからつま先にかけての痛みとしびれが出現しました。近所の整形外科医院や総合病院を受診して投薬治療を受けていましたが、痛みが取れないため、当院を受診しました。

 

 腰、ふくらはぎ、足背部(第1,2中足骨の間)にトリガーポイントを認めたので、トリガーポイント注射をしました。注射や、痛み止めの座薬(ボルタレン座薬)で痛みは少し改善しましたが、夜中に出現する右つま先の激痛はとれませんでした。

 

 1ヶ月ほどしたときに、付き添いの娘さんが、「診察室では元気に振る舞っているけど、家ではいつも死にたいと泣いている」と教えてくれました。

 

 痛みによる不安から「うつ状態」になってしまったと診断して、すぐに抗うつ薬のドグマチールを処方しました。ドグマチールは著効して、すぐに精神的に楽になり、痛みもどんどん改善して、座薬をほとんど使わなくても生活できるようになりました。

 

 抗うつ薬の使いすぎがかえってうつ病患者を増やしているという意見もあります。

http://www.3houki.jp/hihan.html

 私も、精神科から20種類近くの薬を処方されている患者さんを診ると、「薬のせいでよけい具合が悪くなってるんじゃないかな」と思ったりすることもあります。

 

 でも、この患者さんには抗うつ薬が非常に良く効きました。「馬鹿とハサミは使いよう」といいますが、「抗うつ薬も使いよう」なんだと思います。

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