2016.8.14 カテゴリー|トリガーポイント注射
最近、あるご婦人からこんな指摘を受けました。
「整形外科は進歩が遅いのではないですか?」
ドキッとしました。
このご婦人の言わんとしたことをまとめると
「がんの治療などは、どんどん新しい技術や薬が開発されて変化しているが、整形外科の治療は、昔とあまり変わっていない。ほかの分野に比べて進歩が遅いのではないですか?」
ということでした。
整形外科の治療が昔とあまり変わってないというのは、レントゲンを撮って、シップや痛み止めを出して、電気をかけて、それで治らなければ手術という治療体系が変わっていないという意味と、手術をしてもよくならない人が相変わらずたくさんいるという両方の意味だと思いました。
私はこう答えました。
「実は、痛みに対する治療の研究は最近始まったばかりなのです。痛みというのは脳が感じるものなので、とても複雑で、簡単には解明できません。それでも痛みについてだいぶわかってきているのですが、ほとんどの整形外科医はそのことを学ぼうとせず、相変わらず、骨や軟骨の変形を直せば痛みが取れると信じています。そういう意味で、ほかの分野に比べて進歩が遅いと言われれば遅いかもしれません。」
「整形外科は進歩が遅いのでは」と指摘され、否定できない現状はとても残念です。
骨や軟骨の変形を治せば痛みが取れるという前提自体が間違っているので、頭のいい偉い先生がいくら研究を重ねても治療結果がよくならないのです。
だから、ちっとも進歩しないのです。
体の痛みの原因はほとんどは筋肉の痙攣で、慢性痛の原因は脳の勘違い。
骨や軟骨の変形は痛みとは関係ない。
この点を踏まえて、研究がすすめられて、トリガーポイント注射よりもっと有効な画期的な治療が開発されて、はじめて整形外科の治療が進歩したと感じてもらえるのかもしれません。