2017.12.19 カテゴリー|トリガーポイント注射
再三このブログで、「痛みは速やかに取ったほうがいいので、痛み止めは我慢せずにすぐに飲みましょう。」と訴えていますが、時には痛み止めの処方を躊躇するときがあります。
それは他の病院からたくさん薬をもらっている時です。
6種類以上飲んでいたら躊躇します。10種類以上飲んでいたら基本、当院からは薬の処方をせず、注射と湿布で治療をします。
先日来院したおじいちゃんに「痛み止めを出したいけど、たくさん薬飲んでいるからなぁ」と言ったら、「んだな。あまりたくさん飲むとクスリとクスリがケンカすっかんな」と答えました。
そうなんですよ、あまりたくさんクスリを飲むとクスリとクスリがケンカしていろんな副作用が出るんですよ。
それで、その副作用を抑えるためにクスリが出て、またクスリとクスリがケンカするという悪循環です。
整形外科でもやたらたくさんクスリ出す先生がいます。
例えば、殿部から下肢の痛みとしびれの患者さんに対して、ロキソニン、トラムセット、サインバルタ、リリカ、メチコバール、ユベラN、オパルモン ムコスタ プリンペランと、知ってるクスリで全部だしてんじゃねぇの?と思うような処方をする先生がいます。
私だったら、急性痛の場合、まずロキソニン(痛み止め)を出します。ロキソニンが効かなければロキソニンを止めて、トラムセット(弱オピオイド)を出します。
慢性痛ならサインバルタ(慢性痛治療薬)を出して、症状と副作用を見ながら漸増をしていきます。
寝ているときの痛みや、朝起きたときの痛みがあるときはリボトリール(抗てんかん薬)を追加します。
リリカ(神経障害性疼痛治療薬)は、帯状疱疹後神経痛にはすごく良く効きますが、それ以外の痛みにはそれほど効かない印象です。
メチコバール、ユベラN(ビタミン剤)とかオパルモン(弱い血管拡張薬)とか屁の役にも立たないクスリは出しません。
ムコスタ(胃粘膜保護薬)は、ロキソニンの副作用である胃炎や胃潰瘍を防ぐために処方していましたが、ほとんど役に立ってないことがわかってきたので、最近はほとんどだしてません。
プリンペラン(吐き気止め)はトラムセットの副作用である吐き気を抑えるためのクスリですが、吐き気は内服開始5日間くらいで落ち着くので最初の1週間しか処方しません。
トリガーポイント注射などを併用して、なるべく少ない種類のクスリで痛みをコントロールをするのが整形外科医の腕の見せ所だと思っています。
おまけ
先月、東京に住んでいる甥っ子が、風邪を引いて近所の内科にかかったら、最初から10種類もクスリを処方されました。
そのお医者さん、馬鹿なのか、それとも金儲けに走っているのか、どちらにしろ患者にとっては厄災でしかありません。普段全然薬を飲んでない人がいきなり10種類も薬を飲んだら、体がおかしくなっちゃいますよ。
風邪はウイルス性感染症なので、クスリでは治りません。風邪薬は、あくまでクスリの症状を緩和するためだけのものです。咳がひどければ咳止めを、痰がひどければ痰切りを、熱が高ければ解熱薬を、必要最小限処方すればいいのです。
安静にして布団にくるまって体を温めて、免疫力をアップすることが一番の治療です。それが難しい人は、ネックウォーマーとホッカイロで喉を温めてください。それだけでウイルスの増殖をかなり抑えることができます。