2019.8.27 カテゴリー|その他
6歳の女の子
3日くらい前に熱が出て、某医師会病院の小児科を受診して、風邪薬?を処方されました。
その後熱は下がったけど、口内炎が出来たため、別のクリニックを受診して「クスリはない」と言われました。
その後、また別のクリニックを受診して、そこでも「クスリはない」と言われたので、4件目に当院を受診しました。
口腔内に複数の口内炎を認めました。手足に皮膚炎はありませんでしたが、経過からして手足口病を疑いました。
それより何より、同じ病気でたった3日間で医者を4件も梯子していることに唖然としました。
「同じ病気で4件も梯子するのは、一番ダメな医者のかかりかたです。医者は、最初から診断できるわけじゃなく、経過を見ながら診断を確定していくのです。そっちこっちにかかっていたら誰も診断をつけられないから、クスリも出せない。」
「経過がわからないから、はっきりしたことは言えないけど、手足口病の可能性が高い。手足口病に効くクスリはないし、自然と治るからクスリを飲む必要もありません。」
「診断をつけて欲しければ、最初に熱があったときに診てくれた某医師会病院にかかったほうがいい。」
と説明しましたが、患児の父親は最後に
「ここもクスリを出してくれねぇのか、また別の病院にかかるしかねぇな。」
と言って診察室を出て行きました。ガックシ
○○につけるクスリはないね。
2019.8.26 カテゴリー|その他の治療について
日曜日はめちゃめちゃ混みます。
駐車場に車が止められないくらい混みます。
待合室の椅子が足りなくなるくらい混みます。
私が過労死しそうになるくらい混みます。
めちゃめちゃ忙しいので、粉瘤の手術をする時間なんかありません。
なので、せっかく来院してもらっても「とりあえず抗生剤でちらします。手術を希望するときは月曜か木曜の午後に来てください。」と説明して一度帰ってもらいます。
だから、粉瘤の手術を希望する方は最初から月木の午後に受診してください。
2019.8.20 カテゴリー|医療に関する迷信
交通事故にあって、痛みも痺れもないのに、「後から痛くなると困るから検査してください」と言って、受診する患者さんがけっこういます。
先日も、交通事故にあってから10日くらい経っていてどこも痛くないのに会社の先輩たちから「後から痛くなると困るから検査を受けたほうがいい」と勧められて受診した患者さんがいたので、6年前に書いたブログを再掲します。
こういう患者さんが来ると、いつも困ってしまいます。どこも痛くない人の、何を調べらばいいのでしょう。全身のレントゲンでもとればいいのでしょうか?一応、事故の時に痛くなることが多い、首と腰の動きを調べて、痛みによる動きの制限がないことを確認して、「心配ないでしょう。交通事故の痛みが後から来るとというのは、迷信です。」と説明しています。
交通事故にあって、骨折や脱臼など、レントゲンで分かる怪我を負ったときは、事故直後から強い痛みがあるはずです。それ以外の、レントゲンやCTやMRIなどの画像所見で異常がない痛みは、事故による筋肉痛です。
事故による筋肉痛には2種類あって、事故の衝撃で筋肉がのばされたことによる筋肉痛と、火事場の馬鹿力による筋肉痛です。通常、筋肉は最大筋力の30%くらいしか使えないようになっています。それ以上の筋力を使うと筋繊維が壊れてしまうからです。しかし、事故にあった場合などは、体を守るために100%の力を発揮します。これを、昔から火事場の馬鹿力とよんでいます。火事場の馬鹿力を出すことで筋繊維が壊れ筋肉痛を起こします。
子供の運動会などで、急に走ったとき、翌日や翌々日くらいに筋肉痛が出た経験がある方はたくさんいると思います。それと同様に、交通事故による筋肉痛も3日以内に出現します。そして、ほとんどの場合、運動会の筋肉痛と同様、1週間くらいで良くなります。
つまり、交通事故の痛みは、通常3日以内に発生します。それより後に出た痛みは、交通事故と関係がない痛みです。
それから、レントゲンを撮っても、MRIを撮っても、CTを撮ってもどんなに検査をしても後から出るかもしれない痛みの原因を見つけることなんて不可能です。なので診察を受けても意味がありません。
「交通事故にあうと、後から痛くなる」というのは迷信です。
2019.8.16 カテゴリー|トリガーポイント注射
40代の男性
3日前から右膝が痛くなり当院を受診しました。
念のためレントゲンを撮りましたが、右膝の骨には全く異常はありませんでした。
触診すると右大腿四頭筋内側広筋にトリガーポイントを認めたました。
それより何より、右大腿四頭筋の著しい萎縮を認めました。
話を良くを聞いてみると、5年前に足首を骨折して、某病院で手術を受け、そのときに「(骨折で足首が変形したから)将来、膝も痛くなるでしょう。」と言われたそうです。
それでずっと膝をかばって生活していたようです。
「それは、『将来、膝も痛くなることもあるかもしれない。』程度の話です。よけいな心配して、膝をかばっていたから、こんなに筋肉が萎縮してしまったのです。どんどん動かさないと、かえって痛みがひどくなってしまいますよ。」
と説明したけど、通じたかな?
トリガーポイント注射も受けていかなかったし、呪いは解けなかった可能性が高そう。
30年くらい前からインフォームド・コンセントという言葉がでてきて、手術前に患者さんには起こりえる合併症や副作用について十分な情報提供をして、納得してもらって同意を得てから手術をするということが病院で行われるようになりました。
これは、はっきり言って医療訴訟対策です。
後から訴えられないように、前もって細かく説明するのです。真面目な医師ほど細かく説明します。
でも、心配性な患者さんは、滅多に発生しないような合併症についても、必ず発生するのではないかと不安になってしまいます。
心配性の患者さんには、ドラマの女医のように「私、失敗しないので!」と言ってあげるのが一番安心してもらえるのですが、さすがにそれは無理です。医学は何が起こるかわからないので。
私なんかは、ざっくりと「手術は温泉治療と違って、いろんなことが起こる可能性があるけど、そのときは全力で対応します。」と説明していました。
おかげさまで一度も訴えられたことはありません。運が良かっただけですけどね。
丁寧な説明が、患者さんの受け止め方次第では「呪いのことば」になってしまうこともある。
ということです。やはり医学は何が起こるかわからない。