2015.10.01 カテゴリー|その他
今日はこのエントリーの紹介
意外と多い大人の発達障害
http://blogos.com/article/136640/
これを読んで、二人の先輩が思い浮かびました。
一人は研修医時代にお世話になったF先生です。F先生は非常に優秀な先生でキャンベル手術書という数千ページもある手術書の、何ページに何の手術について書いてあるか暗記していました。手術も診察も指導も丁寧で非常に尊敬できる先生でした。しかしF先生は時間の計算がものすごく苦手でした。たとえば、車で片道1時間かかる場所の会合に出席するためにわたしと一緒に出発しようとしたときに、急患が入りました。F先生はその会合にどうしても出なければならなかったので、少し診察をしてから救急担当医師にこう言いました。
「会合に出なければいけないから、少し離れるけど1時間後には戻るから」
・・・・・・・・いやいや、それ絶対無理だから、往復だけで2時間かかるから。しかも実際に会合にいくと、てっきり挨拶だけでとんぼ返りするかと思いきや、座り込んで談笑を始めました。30分待っても1時間待っても腰を上げません。業を煮やしてわたしが声をかけたら、「もうそんな時間?」なんてとぼけたことを言ってました。結局、戻るまで3時間以上かかりましたが、病院の関係者はF先生のそんな行動には慣れっこなので、何も問題は起きませんでした。
そんな時間の計算ができないF先生は、外来の診察でも一人に対して1時間でも2時間でも行います。だから1日30人くらいの予約外来が終わるのが、いつも夜中の9時頃でした。そんなF先生を慕って県内中からたくさん患者さんが集まっていました。
当時は、優秀なF先生がなぜ時間の計算だけこんなにもできないのか不思議でしたが、軽い発達障害があったのだとしたら納得です。そんなF先生はその後出世して病院長になりましたが、管理職になってからはいろいろとご苦労をされたようです。
もう一人は、ライオンズクラブの先輩です。この人はある分野の研究者としてはある程度の実績を残した人だったのですが、空気が読めず、相手の気持ちを思いやることができない人でした。友達を作るためにライオンズクラブに入ったらしいのですが、トラブルばかり起こしていました。わたしもライオンズクラブパーティーで理不尽な批判を大声でされ、ひどく傷ついたことがあります。何でこの人はわたしより20歳も年上なのに、こんなごじゃっぺで意地悪なんだろうと思っていましたが、あとからこの人が未治療のアスペルガー症候群でなんじゃないかと気がついて納得しました。この人は数年前にライオンズクラブをやめたので、今は一切つきあいがなくなったからもうどうでもいいけどね。
患者さんの中にも、この人は大人の発達障害なんじゃないかと思われる人がいますが、精神科医でもないわたしがそれを指摘していいのかどうか難しいところです。