2017.10.12 カテゴリー|その他の治療について
70代の女性、以前から骨粗鬆症で当院に通院していました。
6月に受診した際に、2ヶ月前から両手のしびれが出て10日前から両足のしびれが出現したと訴えました。
しびれの部位は末梢神経障害によくあるグローブ・ストッキング型でしたが、念ため頚椎症性脊髄症も疑い、診察と検査を行いました。
巧緻障害と歩行障害なし、深部腱反射は正常、病的反射なし、頚椎レントゲンでも異常なし。
やはり末梢神経障害のようです。
末梢神経障害といえば一番多いのは糖尿病性神経障害ですが、糖尿病はありません。
その代わり、高脂血症があり、数ヶ月前からスタチン系抗コレステロール薬が処方されていました。
その薬の副作用だろうと診断し、内服を止めてもらいました。
2ヶ月後に再診したときにはしびれは消失していました。
やはり、スタチン系抗コレステロール薬の副作用だったようです。
以前にも書きましたが、コレステロールは薬を使ってまで下げる必要はありません。
コレステロールが高いと血管が詰まると考えている人が多いようですが、それは原因と結果をはき違えています。
まず、老化や喫煙(受動喫煙も含む)や糖質のとりすぎによる高血糖などが原因で血管の内壁が傷つきます。
内壁が傷つくと血管が破れてしまうので、コレステロールがその穴を塞ぎます。
血管損傷がひどいと、コレステロールがたくさん必要になり、肝臓がコレステロールを大量生産するため、高コレステロール血症になります。
つまり、コレステロールが高いから血管が詰まるのではなく、血管が傷ついているからコレステロールが高くなるのです。
血管損傷を火事だとすると、コレステロールは消防士です。
薬でコレステロールを下げるということは、
「火事が多いところに消防士がたくさんいるから、消防士が火事の原因だろう。消防士を減らせば火事が減るに違いない。」
といっているのと同じことです。
バカげた話です。
難治性の慢性疼痛患者さんの中には、このスタチン系抗コレステロール薬を飲んでいる人がたくさんいます。
本当は飲むのを止めてもらいたいのですが、痛みの原因はそればかりじゃないし、内科の先生ともめるのも嫌なのでなかなか言い出せません。