2017.11.10 カテゴリー|医療に関する迷信
先日、笠間市の夜間診療所で当番医をしたときのことです。
筑波大学医学部の5年生の学生さんが2人、見学に来ていました。
患者さんが来れば、レントゲンや血液検査などができない状況での、診察や治療のやり方を見せてあげることができるのですが、残念ながら(?)患者さんが一人も来なかったので、代わりに医師の先輩として偉そうにいろいろ語りました。
「医学は日々進歩しているので、先輩のいうことや教科書に書いてあることを鵜呑みにせず、自分で考えて新しい治療をどんどん取り入れなければいけない」という話をする中で「湿潤療法について知ってる?」と聞いたら、二人とも「知りません」と答えていました。
「創は消毒しないで乾かさないほうが早くきれいに治るんだよ。」と説明したら、二人とも驚いていました。
今の若い医師の間では湿潤療法が主流になっていると勝手に思い込んでいたので、こっちが逆に驚きました。
でも、よく考えたら、医学部の学生さんが湿潤療法について知らないのは仕方がないんですよ。
だって、医学部では傷の治療について、何一つ教えてくれませんから。
だから医学生の傷の治療に対する知識は一般人と同じレベルです。
今回の学生さん達にも、「暇があったら「湿潤療法」でググってみてね。」って言ったけど、ググったかなぁ。
ググっているようなら見込みがあるね。
2017.11.07 カテゴリー|トリガーポイント注射
10年前から左臀部から太もものしびれがありました。
1年前に某整形外科を受診して、レントゲンやMRIの検査を受け「異常なし」と診断され、「気の持ちようだ」と言われました。
治療は特になかったようです。
1ヶ月くらい前から腰痛も出現して、当院を受診しました。
下図の部位にトリガーポイント注射を打って、サインバルタを処方しました。
1回目の注射でだいぶ良くなりました。
2回目の注射でかなり良くなり、表情も明るくなりました。
このブログにも何度も書きましたが、慢性痛は「気の持ちよう」であることは間違いありません。
でも「気の持ちよう」だから、何も治療せず自分で何とかしろというのは間違いです。
トリガーポイント注射をして、適切な薬を処方して、一時的にでも痛みを取り、患者さんに希望を持たせるのが医者の仕事だと思います。
2017.11.06 カテゴリー|その他
ひとんちの犬に噛まれたら健康保険は使えません。
他人の犬に噛まれることは、他人から暴行を受けたときや交通事故で怪我をしたときと同じで第3者行為になるので健康保険の適応外です。
なので治療費は、犬の飼い主が全額自己負担しなければいけません。
自分の犬が他人を噛んだのに、治療費も支払わず知らんぷりすることは、交通事故のひき逃げと同じです。
犬の飼い主に支払い能力がないなど、特別な事情がある場合は健康保険が使えることがあります。
しかし、その場合は健康保険組合に「第3者行為による傷病届」を提出し、その届けが認められないと健康保険は使えません。
どっちにしろ、最初は健康保険が使えません。
相手が大怪我をしてしまったら、飼い主は莫大な医療費と慰謝料を払わなければいけません。
犬を飼うにはそれだけのリスクがあるのです。
ちなみに、配達や営業などで訪問先の犬に噛まれた場合は労災です。
この場合も健康保険は使えません。
2017.11.02 カテゴリー|その他
保湿剤「ヒルドイド」の美容使用が横行 保険適用外とする動きも
http://news.livedoor.com/article/detail/13818695/
ヒルドイドクリームを健康保険でもらって美容目的で使用しているバカがいっぱいいるから、保健適応外にしようっていう話が出てきました。
つうか、もともとヒルドイドクリームに美肌効果とかないからね。
クリームってのは石けんと同じ界面活性剤だから、塗った瞬間はつるつるになるけど、時間とともに肌の水分を吸収して、最終的には肌は余計に乾燥します。
乾燥するからまたクリームを塗るという悪循環。
つまり、美容目的でヒルドイドクリームを使っている人は二重の意味でバカ。
元々こんな有害無益な薬に保健適応があったこと自体が間違いなので、保健適応外にすることには大賛成です。
肌を若く保ちたいなら、まず禁煙。それから日焼けをしないこと、なるべく化粧をしないこと、ワセリン(プロペト)で保湿をすることです。
なんか、ヒルドイドのあおりでワセリンやプロペトも保健適応外にされそうな勢いなんだよね。
それはちょっと困るけど、そうなったら元々安い薬だから自費で買ってもらうしかないねぇ。