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難治性慢性疼痛患者と共依存について

2015.1.28 カテゴリー|その他の治療について

 共依存(きょういぞん)とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す。すなわち「人を世話・介護することへの依存」「愛情という名の支配」である。共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自信の心の平安を保とうとする

 共依存にある状況では、依存症患者がパートナーに依存し、またパートナーも患者のケアに依存するために、その環境(人間関係)が持続すると言われている。典型例としては、アルコール依存の夫は妻に多くの迷惑をかけるが、同時に妻は夫の飲酒問題の尻拭いに自分の価値を見出しているような状態である。こういった共依存者は一見献身的・自己犠牲的に見えるが、しかし実際には患者を回復させるような活動を拒み、結果として患者が自立する機会を阻害しているという自己中心性を秘めている。

 

 難治性慢性疼痛患者さんと家族の間にも共依存が成立していると思われるケースが見られます。

 患者さん本人以上に痛みについて心配していて、通院に常に付き添い、患者さんができることも先回りしてやってしまうような家族がいると、何をやっても痛みが取れないし、ADLも全く改善しないということが良くあります。

 このようなケースでは、慢性疼痛患者さんとそれを介助する家族の間に共依存が成立していると思います。しかし、共依存に対する有効な治療法はなく、患者さんやその家族に、「痛みを受け入れ、痛みと共存しながら、自分で着ることはなるべく自分でやるように」と自立を促しても、ほとんどの場合、自立できないいいわけを並べるだけで、全く聞き入れてもらいません。

 逆に言えば、このようなケースでは痛みが家族関係の要になっているとも言えます。必要以上に介入して、痛みはとれたけど、家族関係を破綻させてしまっては、本末転倒なので、難しいところです。

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