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後医は名医

2015.7.21 カテゴリー|その他の治療について

 60代の男性です。

 2月頃、急に左小指の先が腫れて痛くなり近所の整形外科を受診しました。そこで切開排膿を受けて、そのあとずっとイソジン消毒を続けていましたが、2ヶ月たっても痛みが取れないため、T大附属病院に紹介されました。大学病院でレントゲン検査と血液検査を受けましたが、何も異常がなかったため、治療は特にないから様子をみるようにいわれました。

 様子をみていても痛みが取れないため、親戚の紹介で当院を受診しました。

 左小指が赤黒く変色していて、浮腫と関節拘縮を認めたので、軽いCRPS(複合局所疼痛症候群)と診断し、ノイロトロピンを処方して様子をみることにしました。

 1ヶ月くらいして少し浮腫がひいたら、患者さん本人が小指のつけ根にしこりがあることに気がつきました。エコー検査でガングリオンと腱鞘の肥厚を認めました。

 あれ、もしかして腱鞘炎かもと思って、ケナコルトの注射をしたら劇的に痛みが消えました。

 すっかり痛みが取れた患者さんから「先生はやっぱり評判通りの名医だと」と褒められました。

 

 しかし、これは私一人の手柄じゃないんですよね。

 医学界には昔から「後医は名医」という言葉があります。最初に診た医者より後から診た医者の方が情報が多いのでその分診断や治療がしやすいのです。

 今回の症例も大学病院で検査をして何も異常がなかったということが大きなヒントになっています。私が名医だから診断できたわけじゃないんですよ。

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