筋膜リリースってどうよ
2016.6.26 カテゴリー|トリガーポイント注射
筋膜リリースという新しい治療法がテレビなどのメディアで話題になっています。
筋膜(筋肉を覆っている膜)の癒着や肥厚が痛みの原因であるとして、エコーで確認しながら肥厚している筋膜の生理食塩水を注入して、筋膜の癒着をはがす治療法です。
MPS研究会の中心メンバーである木村ペインクリニックの木村裕明先生などがはじめました。
この筋膜リリースについて、加茂先生が考察を述べているので、読んでみてください。
再度 筋膜リリースついて
http://junk2004.exblog.jp/25951658/
私は筋膜リリースはやったことがありません。
なぜやったことがないかというと
①健康保険が使えないから
②時間がかかるから
③トリガーポイント注射のほうが簡単だから
やったことがないから筋膜リリースの効果についてどうこういう資格はありませんが、加茂先生の意見は、生理学的に正しいと思います。
問題なのは、MPS研究会の議論が筋膜リリースなどの技術論に偏っていること。
技術も大切ですが、それ以上に治療者が慢性痛の生理について理解していることが大切だと思います。
筋肉の機能異常が原因の痛みがあること、慢性痛は脳の誤作動であって椎間板ヘルニアや半月板損傷などの構造的な異常ではないことなど慢性痛についての正しい知識を広げることが大切です。
そのためには、技術的に比較的簡単なトリガーポイント注射を広めることが一番の近道だと思います。
慢性痛の原因がエコーで確認できる筋膜の癒着や肥厚だって?
それって、つまり筋膜の構造的な異常が慢性痛の原因ってことでしょ。
一周回って元に戻ってね?
この意見をFBに載せたら、大学の先輩からコメントが来ました。
「プラシーボ」
エコーの画面で筋膜がはがれていく画像を見せたら、かなりの儀式的効果(プラシーボ)がありますよね。
プラシーボでもなんでも痛みが取れれば何でもいいというのが私の治療スタンスですが、上記理由で筋膜リリースは今後もやりません。