2019.12.20 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
89歳の女性
自転車に乗っていて、バランスを崩して右踵を地面に強打して受傷しました。
翌日、当院を受診しました。
右踵骨部に圧痛と腫脹を認めたので踵骨骨折を疑ってレントゲンを撮りました。
しかし骨折はありませんでした。
「レントゲン上は折れてないけど、症状的には折れている可能性が高いです。高齢者の骨折は最初のうちはレントゲンに写らないことがあるので、1週間経っても痛みが続くときは再診してください。」と説明しました。
5日後に痛みが取れないと再診しました。
やっぱり折れてませんでした。
「折れてないから大丈夫だけど、なかなか治らなかったらまた来てね。」と説明しました。
受傷から3週間経っても痛みが残っていたので、再再度レントゲンを撮りました。
折れてました。
踵の骨の先端のに少し内側が白っぽくなっているのがわかるでしょうか。
これは骨髄内仮骨といって、骨折が修復されるときに出来る新しい骨です。
骨髄内仮骨が出来たということは骨折していたということです。
「折れていました。でももうくっついてきているから大丈夫です。」と説明しました。
さらに1週間後受診した時は、踵の痛みは無くなっていました。
念のためレントゲンを撮りました。
骨髄内仮骨がさらに出来ていました。
「もうくっついているから大丈夫だよ」と説明して治療を終了しました。
高齢者や子供の骨折は、最初のうちはレントゲンに写らないことがあるから要注意です。
最初に診察したときに、そのことをきちんと説明しないと、痛みがあるのにほっといて骨がずれたり、よその病院にかかって骨折が見つかって「見逃しだ」と騒がれたりする可能性があります。
今回の件も最初に説明していたから、患者さんにも家族にも納得してもらえました。
最初にわかりやすく説明することが大事です。