「コロナによる死」に慣れるしかない
2020.8.20 カテゴリー|新型コロナ
湿潤療法の師匠である夏井睦先生のウェブサイト「新しい創傷治療」で、新型コロナウイルスについて素晴らしい見解を述べていたので、勝手に転載します。
夏井先生は読書家で、ご自身も何冊の本を書いているので、漫画ばっかり読んでいる私とは文章の説得力が全然違います。是非読んでください。
以前は「夏になれば自然に消滅するんじゃないのかな」と勝手に予想していましたが,その予想は見事に外れてしまいました。インフルエンザのような「流行期にだけ流行し,その後,自然に流行が終結」というシナリオが期待できないとなると,今後どうなるか。
「ウイルス感染者がこの世から一人もいなくなるまで都市封鎖を続ける」と考えている人もいるでしょうが,これは現実解ではないでしょう。それでは生きていけないからです。
76億人が食べていくためには76億人分の食料が必要で,その食料を作り出すには化学肥料と灌漑用の設備が必要で,灌漑設備を動かすにはエネルギー(石油)が必要になります。そして,食べたからには排泄しなければならず,排泄物の処理にもこれまたエネルギーが必要です。「衣食住」の「食」関連だけでもこれですから,76億人分の「衣」や「住」の供給を維持するためには,これまた膨大なエネルギーと原料の供給が必要になります。「76億人が生きていくための衣食住」を維持するためのエネルギーと原料を確保するためには,否が応でも経済活動を再開するしかありません。つまり,「コロナがまだ消滅していないのに経済活動を再開するなんて!」なんてお伽話をしている余裕なんてないのです。
それには,「コロナによる死」に慣れるしかないでしょう。車の便利さを享受するために「交通事故死」を気にしなくなったように。あるいは,インフルエンザによる死を全く気にしていように。
日本では年間130万人が死んでいます。そして5年後には恐らく160万人が死亡するようになります。一方,新型コロナによる死者は1000人程度です。現在のペースの10倍が死んだところで1万人であり,130万人が131万人になるだけでしかありません。
つまり,現状では「日本における新型コロナ」は,畏れ慄いて身をかがめて通り過ぎるのを待つしかない相手,全ての経済活動を停止してまで対応すべき相手ではないと思います。これは交通事故死やインフルエンザ死と同様に扱い,慣れていくべき死だと思います。