2013.7.02 カテゴリー|湿潤療法
50代女性
夕食の準備中に左人差し指にフライパンの油をかけてしまい受傷しました。
受傷直後から強い痛みが出現しました。
氷水につけていれば、痛みは落ち着きますが、氷水から出すと激痛がでました。
痛みがひどいので、笠間市立病院の夜間救急外来を受診しました。
その時の当番医がたまたま私でした。
受傷直後だったので、皮膚は赤くなっていただけで、腫脹や水疱はありませんでした。
でも、すごく痛がっていました。
「ヤケドが痛むのは、空気で皮膚が乾燥するからです」
と説明して、フィルム剤でヤケドの部位を覆ってあげました。
その直後から痛みは改善しました。
翌日、当院を受診しました。
「おかげさまで痛みがとれて、眠れました。」
と感謝されました。
その日の写真です。前日にはなかった水疱が形成されています。
水疱を除去して、ハイドロサイトで覆いました。
治療開始から11日後に皮膚が再生されました。
ヤケドの痛みは皮膚の乾燥が原因です。
だから、水につけていると痛みが落ち着くのです。
患部に食品用のラップを巻くだけで、皮膚の乾燥を防いで痛みを楽にできます。
ワセリンを塗ってからラップを巻くとより効果的です。
関連ブログ
軽いやけどの応急処置(最新版)
https://nishibori-seikei.com/blog/2013/03/post-208.html
2013.7.02 カテゴリー|湿潤療法
60代女性
料理中にお湯をこぼして、おなかに火傷をして、すぐに当院を受診しました。
腹部に10×6㎝くらいの水疱が形成されたⅡ度の熱傷を認めました。
水疱膜を除去して、プラスモイストを当て、自宅で交換してもらい、3日に1回程度通院してもらいました。
治療開始、5日目の写真です。ヤケドの中の毛穴から皮膚が再生されてきているのがわかります。
さらに3日後の写真です。毛穴から再生されてきた皮膚がつながって、皮膚がほぼ再生されました。
浸出液がほとんどなくなったので、被覆材料をプラスモイストからハイドロコロイドに変更しました。
さらに3日後の写真です。(治療開始11日後)きれいに治りました。
わずかに残っている黒ずみも、半年くらいで目立たなくなるでしょう。
湿潤療法なら、Ⅱ度の熱傷も、こんなに早くきれいに、痛みなく治ります。
かつて、消毒と軟膏とガーゼで治療していたころは、このような毛穴から皮膚が再生される状態を見たことがありませんでした。
なぜなら、消毒も、抗菌剤入り軟膏も、ガーゼによる乾燥も強い組織障害性があり、毛穴から再生された新しい皮膚を殺してしまうからです。
だから、治りが悪く、痛いのです。そして、2週間たっても治らなかったら植皮術をされ、醜い傷跡を残します。
2013.7.01 カテゴリー|湿潤療法
20代男性
2か月前に仕事中に機械の輻射熱で右人差し指のこぶしにやけどを負いました。
某皮膚科を受診し、消毒とガーゼとステロイド軟膏と抗生剤の内服による治療を受けましたが、だんだんとヤケドが深くなっていきました。
心配になり、1か月後に某総合病院の形成外科を受診しました。
そこで、湿潤療法を希望したら、担当医から
「軟膏の治療でも湿潤療法でも治る期間は同じだ。」
と説明され、湿潤療法をやってもらえませんでした。
仕方がないので、ネットで調べて当院を受診しました。
初診時、右人差し指のこぶしの部分の皮膚が欠損していて、指を伸ばす腱(伸筋腱)が露出していました。(白く見える部分が伸筋腱です。)
ただちに湿潤療法を開始しました。
自宅で、入浴後にプラスモイストを交換してもらい、週に1回通院してもらいました。
1週間後、すでに伸筋腱は新しくできた組織に覆われています。
2週間後、創周囲から皮膚が出来てキズが小さくなってきています。
3週間後、治りました。
軟膏の治療を1か月うけても治らず、むしろ悪化していたヤケドが、湿潤療法を始めたら3週間で治りました。
従来の軟膏の治療を受けていたら、おそらく今でも腱が見えていて、手術を勧められていたと思われます。
某総合病院の形成外科医が言ったセリフ
「軟膏の治療でも湿潤療法でも治る期間は同じ」なんて、実際に湿潤療法をやったことがある医師なら絶対に言わないセリフです。
湿潤療法をやったことがないなら、「やったことがないからわからない」と正直に言うべきです。
わからないのに、適当なことを言って取り繕うから、素人にも笑われるような恥をかくのです。
2013.6.20 カテゴリー|湿潤療法
65歳の女性
旅行に行って、たくさん歩いたら、右足の親指に靴擦れが出来ました。
様子をみていましたが、どんどん水疱が大きくなるため、5日後に当院を受診しました。
水疱と一緒に爪も完全に浮いていたので、水泡膜と爪を一緒に除去しました。
プラスモイストによる湿潤療法を開始しました。
3日後
4日後
5日後
7日後
薄い爪が再生されて治りました。
今後、根っこのほうから厚い爪が生えてきて、半年くらいで元の爪に戻ります。
2013.6.19 カテゴリー|湿潤療法
60代女性
昨年12月に、転倒して左下腿を打撲しました。打撲によりできた皮下血腫にばい菌が入り蜂巣炎になり、某病院に入院し切開手術を受けました。手術後、創が開いてしまい、消毒と軟膏とガーゼによる治療を受けていましたが、いっこうに創が治らないため、息子さんが心配してインターネットで調べて、4月4日に練馬光が丘病院の夏井睦先生の外来を受診ししました。そこで湿潤療法について説明を受け、自宅に比較的近い当院に紹介されました。
当院初診時の写真です。左下腿の前面に長径3㎝位の皮膚欠損層を認めます。
週2回、通院してもらい、それ以外の日は自宅で、入浴後にプラスモイストの交換をしてもらいました。
本人の希望もあり加圧トレーニングもしてもらいました。
1か月後の写真です。わかりにくいですが、創は小さくなっています。
2か月後、皮膚が出来上がって治りました。
消毒と軟膏とガーゼで治療を4ヶ月続けても治らなかった創が、湿潤療法で2か月で治りました。
やっぱり、消毒と軟膏とガーゼによる従来の治療法より、湿潤療法のほうがすぐれています。
ちなみに、加圧トレーニングが創の治癒を促進したかどうかは、比較ができないのでわかりません。
しかし、理論的には、加圧トレーニングをすると、創の治癒を促す成長ホルモンが大量に分泌されるし、患部の血流もよくなるので、創の治癒を促進するのではないかと思われます。