2013.5.14 カテゴリー|湿潤療法
頭部外傷にガーゼを当てて、テープで固定しようとしても、髪の毛が邪魔でうまく固定できません。
そこで、当院では、ガーゼを髪の毛に固定するのではなく、髪の毛でガーゼを固定するようにしています。
まず、ガーゼの左右から髪の毛を引っ張ってきて、ガーゼの上で交差させ、それをサージカルテープでガーゼに固定します。
次に、ガーゼの上下から髪の毛を引っ張ってきて、同様にサージカルテープで固定します。
ガーゼの目的は、枕や布団を汚さないように、創から出てくる血液を吸収することなので、これで十分役目を果たします。
2013.5.01 カテゴリー|湿潤療法
上のグラフは、ここ1年間に当院を受診した小児のヤケドの患者さんのヤケドの原因を表しています。
症例数は33例です。
1位と2位は、ストーブやアイロンなどの熱いものを、わからないで触ってしまったことです。
子供は好奇心が旺盛なので、なんでも触ってみたくなります。子供の手の届くところには熱いものを置いてはいけません。
3位と4位は、熱湯や料理などの熱いものをかけてしまったことです。
子供は予想外の動きをするので、熱い料理も子供の手が届かないように工夫しなくてはいけません。
2013.4.24 カテゴリー|湿潤療法
33歳男性
1月中旬に湯たんぽで低温やけどをしました。県南地区の総合病院の皮膚科でガーゼとゲーベンクリームによる治療を受けていましたが、良くならないため、1か月後に当院を受診しました。
上の写真が、初診時の状態です。壊死組織で覆われた低温やけどが3か所あります。浸出液はほとんどなく乾燥していました。
まず壊死組織を溶かすためにワセリンをたっぷり塗りプラスモイストで覆いました。
壊死組織は徐々に溶けてきました。
1週間後に、ヤケド周囲の痛みと腫脹が出現しましたが、抗生剤の内服で1日で痛みは消えました。
以後は、自宅で入浴後にプラスモイストを交換してもらい、通院は2週間に1回程度にしました。
2週間後 壊死組織はきれいに溶けました。
4週間後 壊死組織が溶けて欠損した部分に皮膚が再生されてきています。
2か月後 皮膚は再生されました。
皮膚が黒っぽいのは色素沈着です。低温やけどでは色素沈着が避けられません。
色素沈着は、今後徐々に薄れていって、3~5年くらいたつとほとんど目立たなくなります。
元のガーゼとゲーベンの治療を続けていたら、最後は皮膚移植術が行われます。皮膚移植の痕は、一生残ります。
2013.4.04 カテゴリー|湿潤療法
9歳の男の子
2月中旬に湯たんぽで低温やけどしましたが、そのうち治るだろうとほっておきましたが、いつまでたっても治らないので、3週間後に当院を受診しました。
初診時、左膝外側の腓骨頭部に約2㎝の低温やけどがありました。中心部の皮膚は壊死していて、黒く硬くなっていました。(上の写真)
ワセリンをたっぷり塗ってプラスモイストで覆いました。
2日後に診察した際には、壊死組織はきれいに溶けていました。
以後はプラスモイストを自宅で交換してもらって、1週間に1回診察しました。
2週間後 周囲から皮膚が出来ています。
4週間後 皮膚が出来上がりました。子供なので大人より早く治りました。
低温やけどは、真皮の下の皮下組織まで損傷されるので、湿潤療法を行っても、治療に時間がかかります。(大人の場合3~6か月)
その間通院は2~4週に1回程度で、後は自宅で自分で処置してもらいます。
処置と言っても、プラスモイストを外して、入浴してもらい、水分をよく拭いてプラスモイストを貼ってもらうだけです。
2013.4.04 カテゴリー|湿潤療法
「新しい創傷治療」のHPで、僕が夏井先生に送ったメールを取り上げてくれました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
この件に関してある先生からのメールです。
私は大河ドラマ「八重の桜」を毎週見ています。
ドラマの中で奥田瑛二さんが演じる佐久間象山が弟子たちに聞かせた言葉があります。
この言葉、夏井先生や江部先生にぴったり当てはまるじゃないでしょうか。
佐久間象山は志半ばで暗殺されてしまいます。しかし、幕末の混乱で多くの血が流れたあと、最終的に明治新政府は、佐久間象山が主張していた「開国して、西洋の技術を取り入れ、国を強くする」政策をとりました。
同じように、「湿潤療法」や「糖質制限」もいずれ日本中、いや世界中に広がることは間違いないと思います。
中島みゆき『ファイト』のリフレインと同じですね。