2016.10.14 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
1歳9ヶ月の男児
保育園の滑り台から落ちて受傷しました。
初診時のレントゲン
脛骨の骨幹部に斜骨折を認めました。
太ももから足の甲までギプスを巻きました。
1週間後レントゲン
この時点で、つかまり立ちが出来るようになりました。
2週間後のレントゲン
矢印の部分に仮骨が見えます。
この時点ではギプスのままで2歩くらい歩けるようになりました。
3週間後のレントゲン
仮骨がしっかり出来たので、ギプスを外しました。
この時点ではすたすた歩けるようになっていました。
4週間後のレントゲン
骨はしっかりくっつきました。
小走りも出来るようになったので治療を終了しました。
1歳の子に、歩くなとか、体重をかけるな、とかいっても無理なので、歩行や日常動作に関して特に制限をしませんでした。
むしろ、小さい子供は、大人と違って痛ければ無理に歩いたりはしないので、制限をかけなくても大丈夫だと考えています。
2016.7.25 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
10歳の男の子
トランポリンで遊んでいて、左足をひねって受傷しました。
左足の甲の外側が腫れていて押すとすごく痛がったので、骨折を疑いレントゲンを撮りました。
折れてませんでした。
「子供は骨は折れていても、レントゲンに写らないことがあるので、念のため固定しましょう。」
と説明して、靴形のシーネで固定しました。
3日後に再診してもらったときは、全然痛くなくなったというので、シーネを外しました。
しかし、5日後に「走ると痛い」といって再受診してきました。
もう一度レントゲンを撮ってみました。
ぱっと見、やっぱり異常ありませんでしたが、よーーーーーーーーく見ると、第5中足骨の基部にほんの少しヒビが入っていました。
骨折なので、再度シーネ固定しました。
シーネ再開1週間後のレントゲンです。
1週間前より骨折線(ヒビ)がはっきりと写っています。
さらに1週間後のレントゲンです。
骨折線がさらにはっきりと写っています。
この時点で、痛みは完全になくなっていたのでシーネを外しました。
2週間後、再度レントゲンを撮る予定でしたが、受診しませんでした。
きっと元気に走り回っていることでしょう。
このように、子供の骨折は最初レントゲンに写らないことがあります。
初診時のレントゲンで骨折がなくても
子供の骨折は最初レントゲンに写らないことがあること
1週間経っても痛みが取れなかったり、痛みがひどくなったりしたらすぐに受診すること
の2点を、保護者にちゃんと説明することが大切です。
2016.7.04 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
本日の夏井先生の症例報告より
http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1927/index.htm
左アキレス腱断裂を受傷。〇〇大学付属△△病院整形外科で手術。手術後,傷の治りが悪いと説明され,抜糸直後に傷が開いた
アキレス腱の周囲の皮膚は薄く血流が悪いため、アキレス腱縫合手術後に創が開くことはよくあります。また、アキレス腱はかなり太い腱なので、縫合するためには太くて丈夫な非吸収糸で縫わなくてはいけません。この太い糸が感染源となって創が治りにくくなり、今回夏井先生が提示したような経過になってしまうことが割とたくさんあります。
アキレス腱断裂は、手術しなくても治ります。手術してもしなくてもリハビリ期間と再断裂の確率が同じだったという報告もあります。なので当院ではアキレス腱を手術しないでギプスで治療しています。
当院でのアキレス腱の治療法を提示します。
最初の2週間は足首を最大底屈位でギプス固定します。
(最大底屈位とは、つま先を限界まで下に下げたときの足首の位置です)
次の2週間は足首を自然下垂位でギプス固定します。
(自然下垂位とは、座って足を下げて力を抜いたときの足首の位置です)
最後の2週間は足首を直角に曲げた位置でギプス固定します。
(まっすぐに立ったときの足首の位置ですね)
計6週間ギプスを巻きます。その後に2週間は足首の捻挫用のベルトを巻いてもらいます。
(アキレス腱の再断裂は手術したときもしないときもギプスを外した後の2週間の間に起きることが圧倒的に多いので、患者さんにそのことを説明して、またアキレス腱がまだ治っていないことをうっかり忘れないために捻挫用のベルトを巻いてもらうのです。)
ほとんどの場合、リハビリは必要ありません。
ごくまれに足首が硬くなってしまう患者さんがいますが、その場合は加圧トレーニングをしてもらえば1~2ヶ月ほどで動きは元に戻ります。
ちなみに、手術した場合は100%リハビリが必要になります。なぜなら、手術では腱を引き寄せて縫い合わせるので、どうしてもアキレス腱の長さが受傷前より短くなってしまい、その分足首が硬くなってしまうからです。
今のところ再断裂の症例を経験したことはありません。
もちろん、夏井先生が提示したような術後の創離解や創部感染を起こしたことは一度もありません。
自分がゴルフ中にアキレス腱断裂をしちゃったとしても絶対手術はしません。自分でギプスを巻いて、翌日から普通に働くと思います。
2016.6.16 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
50代の女性
転倒して左手をついて受傷しました。
すぐに当院を受診。レントゲン上、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)を認めました。
転位を認めたので、局所麻酔後にテレビレントゲンで確認しながら骨折を整復しました。
その後シーネ(添え木)固定しました。
3週間後、レントゲンで骨癒合がえられたと判断しシーネを外しました。
ところが、その2週間後のレントゲンで、骨癒合が十分でないことが判明しました。
下図のレントゲンの矢印の部分の骨に黒い線が入っているのがわかると思います。
手首の軽度の痛みと、指や手首の動かし難さ(可動域制限)も残っていました。
骨癒合を促すためにテリボン注射を開始しました。
同時に、可動域制限の改善と骨折部の血流を改善させる目的で加圧トレーニングも開始しました。
下図は2ヶ月後のレントゲンです。
骨癒合がえられました。
痛みや可動域制限も改善しました。
骨癒合不全にはテリボンと加圧トレーニングが有効と思われます。
テリボンは骨粗鬆症がない若い人には使えないけどね。
2016.4.05 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
80代の女性
3日前から自然と背中が痛くなり当院を受診しました。
レントゲン上、第9胸椎の圧迫骨折を認めたので、テリボン皮下注を行いました。
下図の青い矢印が第9胸椎
1週間後、痛みはだいぶ楽になったようですが、念のためもう一度レントゲンを撮りました。
すると、前回のレントゲンでは異常がなかった第7胸椎に圧迫骨折を認めました。
下図の赤い矢印が第7胸椎、上図の写真と比べてつぶれていることがわかると思います。
今回の痛みの原因はこちらの第7胸椎圧迫骨折で、前回のレントゲンで認めた第9胸椎圧迫骨折は古い骨折だったようです。
骨粗鬆症がある高齢者の圧迫骨折は、最初のレントゲンでは写らないことが良くあるので、痛みが続いているときは再度レントゲンを撮り直した方がいいです。
経験と勘から骨粗鬆症による圧迫骨折の可能性が高いと判断した場合は、レントゲン上で骨折がはっきりしなくてもテリボン皮下注をうって、早期に痛みを取って上げたほうがいいんじゃないかなと思っています。