2019.2.21 カテゴリー|その他の治療について
昨日、ライオンズクラブの例会で急遽インフルエンザの予防法について聞かれて、そのときにアドリブで話した内容を書きたいと思います。
インフルエンザの予防と言えばワクチンです。でも今年はあまり効いてないようです。
ワクチンはその年にはやるであろうインフルエンザウイルスのタイプを予測して作られますが、今年はワクチンを打った人も軒並みインフルエンザにかかっているのでおそらく予測が外れたのだろうと思います。
ちなみに、私はインフルエンザにかかったことが一度もありません。
娘たちの誰かがインフルエンザにかかっても、家庭内で感染が広がることもありません。
それはインフルエンザを予防するコツを知っているからです。
インフルエンザは空気中に漂っているウイルスを吸い込むことによって感染すると思っている人が多いと思いますが、そんなことはありません。
ほとんどは接触感染でうつります。
インフルエンザ患者さんが咳をしたりくしゃみをしたりして飛び散った唾や鼻水がテーブルや椅子などにくっつきます。
その唾や鼻水にはインフルエンザウイルスがくっついているので、それを触ることで指先にインフルエンザウイルスがくっつきます。
その指で目や鼻の穴や口の中の粘膜を触るとそこからウイルスが侵入してインフルエンザウイルスに感染してしまいます。
なので感染予防には、目や鼻や口などの粘膜をなるべく触らないことが一番大事です。
指先についているウイルスは水やお湯で手洗いすればすぐに落ちます。薬用石ケンや消毒薬を使う必要はありません。
マスク自体にインフルエンザウイルスの侵入を防御する効果はありません。
しかし、マスクをすることで不用意に口や鼻を触ることが減るのでそういう意味では予防効果があるでしょう。
喉が乾燥すると免疫力が落ちてウイルス感染をおこしやすくなるので、部屋の中を加湿することが大切です。マスクをしていると吸気が加湿されるので、パーソナルな加湿器としての効果はあると思います。
家庭内での感染を予防するには、タオルやコップなど唾や鼻水がつくものを共用しないことが重要です。
うがいはほとんど効果がありません。粘膜についたウイルスは数秒で粘膜内に入ってしまうからです。5秒に1回くらいうがいをするなら効果あるかもしれませんが(笑)。
ここで、「テレビで緑茶や紅茶を飲むとインフルエンザの予防が出来ると言っていたが本当か?」という質問を受けました。
お茶に含まれるカテキンやビタミンCがインフルエンザを予防するということなのでしょうが、そんなに効果があるなら予防薬として健康保険が使える製剤になっているはずです。なのでそれは嘘です。
そもそも、テレビでやっている医療情報の9割は嘘です。あてになるのはNHKの「今日の健康」と「ドクターG」くらいです。
特に民放の健康番組でやっている内容はほとんど嘘です。だいたいテレビに出ている医者は暇だからテレビに出てられるのであって、まともな医者じゃありません。テレビ局の要望通りのコメントをいうタレント医者なので信じちゃいけません。
アドリブにしてはなかなかうまくしゃべれました。
2019.2.13 カテゴリー|その他の治療について
整形外科の手術にはいろいろあります。
やんないほうがいい手術もやったほうがいい手術もあります。
腰痛の手術は基本的にやらないほうがいいです。(骨折や腫瘍や感染は除きます。)
一般的に腰痛の原因は骨の変形や椎間板ヘルニアが神経を圧迫しているから痛いと説明されていますが、その考えが間違っているからです。
だから、腰の手術を受けた直後はプラセボ効果でしばらく痛みが取れてもまたしばらくいすると痛くなってしまう人がたくさんいるのです。
中には手術をした後で余計に痛くなってしまった人もけっこういますね。
腰痛の原因は腰の周りの筋肉の痛みなので手術などしないでトリガーポイント注射やサインバルタの内服などで根気よく治療した方が結果的には良くなります。
やったほうがいい手術は、変形性膝関節症や変形性股関節症に対する人工膝関節置換術や人工股関節置換術です。
一般的に変形性膝関節症や変形性股関節症は、軟骨が減って変形した骨がぶつかるから痛いと説明されていますがその考えは間違いです。
膝や股関節の痛みも関節周囲の筋肉の痛みが原因です。
しかし、腰と違って、変形した関節を手術でもとの形にもどすことで筋肉にかかる負荷が減って、筋肉の痛みが取れるのです。
人工関節手術の成功率は十年前よりはるかに良くなっています。
それは医師の技術が進歩したからではなく科学技術が進歩したからです。
人工関節置換術は、変形した骨を切除して機械の関節を入れる手術です。
昔は、骨を切除する範囲も、人工関節を設置する場所も医師の経験とカンで行っていましたから、医師の腕の違いで手術成績にばらつきがありました。
しかし今は、科学技術の進歩でナビゲーションシステムが導入され、ある程度の経験がある医師なら正しい位置に人工関節を設置することが可能になりました。
また、人工関節そのものの素材や形状も進化したため、昔は10年で壊れるいわれた人工関節が30年以上もつようになりました。
電話が黒電話からスマートフォンに著しく進化したように、人工関節も著しく進化しているのです。
30年もつのだから、70歳で手術しても100歳までもちます。
80歳以上になって体力が低下してからではリハビリが大変なので、まだ体力がある70代くらいが手術のベストタイミングです。
「人工関節手術をいつやるの?今でしょ!」です。
もちろん私はもう手術をしてませんので、人工関節をしたほうがよい患者さんは、茨城県立中央病院の林宏先生など信用できる先生に紹介しています。
2019.1.21 カテゴリー|その他の治療について
2018.12.07 カテゴリー|その他の治療について
1年くらい前に以下のような問合せメールが届きました。
2018.12.06 カテゴリー|その他の治療について
80歳の女性
もう10年近く、腰痛や骨粗鬆症で当院に通院している患者さんです。
2週間くらい前から自然と左手にしびれが出現しました。若い人にインターネットで調べてもらったら、神経内科を受けたほうがいいと書いてあったので、某総合病院の神経内科を受けにいきました。ところが、その病院の新患受付で相談したら「その症状なら整形外科を受診したほうがいい」と言われ、整形外科外来に案内されました。
そこで若い医師の診察を受け、首のレントゲンを撮り、首の骨が神経にさわってしびれが出ていると診断され、リリカが処方されました。
ちなみに、紹介状なしで総合病院を受診したので、健康保険の自己負担の他に5,000円払わされました。
それなのに薬を飲んでもちょっとも良くならないので、1週間後に当院を受診しました。
私は手のしびれの患者さんはまず最初に手根管症候群を疑うことにしています。
案の定、正中神経の神経支配に一致した知覚異常と母指対立筋の軽度の麻痺を認め、典型的な手根管症候群でした。
「馬鹿だなぁ。何で最初に俺に相談しないんだよ。首は変形は関係ないからね。手首のところで神経が圧迫されているせいのしびれだよ。神経や腱の腫れをひかせる注射を手首に打てば良くなるよ。」
と説明して、正中神経ブロックを行いました。1週間後にはしびれはほとんど消えていました。
この患者さんの例からわかる教訓をあげます。
① 何か症状が出たら、最初にかかりつけ医に相談しましょう。
② 紹介状なしに大病院を受診するとよけいなお金(5,000円)を払わされます。
③ 大病院は若い医師の教育機関でもあるので、紹介状なしで受診すると若い医師の練習台にされます。
④ 手のしびれは、まず手根管症候群や肘部管症候群などの末梢神経障害を疑います。最初に首を疑うのはヤ○医者です。