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子供の足首の捻挫は骨端線損傷

2013.3.01 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

10歳の女の子

 

体育で、サッカーをしていて右足首をひねって受傷しました。痛くて右足がつけないため、片足ケンケンをしながら当院を受診しました。

 

右足首の外くるぶしを押すと痛がりますが、腫れは認めませんでした。レントゲン上も異常はありませんでした。

 

診断は骨端線損傷です。

 

上の図の矢印の先の部分に線が入っているのがわかると思います。これは骨端線とよばれる部位で、成長軟骨があります。

 

大人の場合、足首をひねると、靭帯を損傷します。外傷による靭帯損傷を捻挫と言います。

 

しかし、子供の場合、靭帯より骨端線のほうが構造的に弱いので、足首をひねると靭帯ではなく骨端線を損傷します。これを骨端線損傷と言います。

 

受傷当初は歩けないほど痛がっている場合が多いですが、3日間ほどしっかり外固定すれば、痛みを残さず治ります。

 

(成長軟骨の損傷がひどい場合は、手術が必要になったり、後から成長障害を起こす場合もあります)

「注射をしたらお風呂に入っちゃダメ」は迷信

2013.3.01 カテゴリー|医療に関する迷信

 当院では、トリガーポイント注射や関節空内注射などの注射をした後の入浴を禁止していません。

 

 なぜなら、注射した穴からばい菌が入ることなど、あり得ないからです。

 

 当たり前のことですが、注射した後、出血が止まったことを確認してから帰宅してもらっています。出血が止まったということは穴が塞がったということです。塞がった穴から、ばい菌が入り込むことは物理的に不可能です。また、ばい菌は、血液の成分である、血症や赤血球などよりずっと大きいので、ばい菌が入る隙間があったら、血液がどんどん出てくるはずです。

 

 ほとんどの皆さんはお風呂の水を毎日交換していると思います。日本は水が豊富なので、水道水をそのままお風呂に使っていることでしょう。水道水に、ばい菌はほとんどいません。家庭のお風呂でばい菌に感染することなどあり得ないのです。

 

 「注射をしたらお風呂に入っちゃダメ」というのは迷信です。

掌蹠膿疱症は禁煙しなければ治らない。

2013.2.27 カテゴリー|ビオチン療法

掌蹠膿疱症の治療のために当院を受診する患者さんの中には、既に別の皮膚科からビオチンを処方されている患者さんがいます。

 

「ビオチンを飲んでいるけど、治らない」と言います。

 

それらの患者さんの共通点は、たった一つ、タバコを止めていないということです。

 

掌蹠膿疱症は禁煙しなければ治りません。喫煙していては、いくらビオチンを飲んでも焼け石に水です。

仕事中の怪我は労災です。健康保険は使えません。

2013.2.26 カテゴリー|その他

 仕事中の怪我は労災です。健康保険は使えません。

 

 休憩中でも、職場の敷地内で怪我をした場合は労災です。健康保険は使えません。

 

 職場への通勤中にけがをした場合も労災です。健康保険は使えません。

 

 労災の治療費は、労働保険から支払われます。

 

 労災と分かっているのに、治療費を健康保険に請求することは、健康保険に対する詐欺行為です。

広がるやけどの湿潤療法、痛みや後遺症、大幅減(東京新聞)

2013.2.26 カテゴリー|湿潤療法

2月19日に東京新聞に、ヤケドに対する湿潤療法についての記事が掲載されました。

 

「広がるやけどの湿潤療法、痛みや後遺症、大幅減」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2013021902000186.html

 

以下転載

 

広がるやけど湿潤療法 痛みや後遺症 大幅に減少

2013年2月19日

 外来のやけどの治療現場で、患部を保湿して皮膚を再生させる湿潤療法が広がっている。軟こうとガーゼによる治療と比べ、痛みや後遺症を大幅に減らせるためだ。従来の治療では皮膚移植に至る症例も、「湿潤療法で治せる場合が多い」と指摘する医師が増えてきている。 (林勝)

 愛知県内の会社員(28)の長女(3つ)は昨秋、夕食中に鍋の熱いスープを誤って左手にかけた。救急病院に行き、患部に軟こうを塗ってガーゼで覆う処置を受けたが、その後も痛みで泣き続けた。母親(28)は、インターネットでやけどの湿潤療法を知り、長女に受けさせたいと思った。

 翌日、やけど治療の実績がある病院の形成外科を受診。ガーゼを患部から引き剥がす時に長女は再び大泣きした。「やけどが深いから皮膚移植が必要かも」と医師。「湿潤療法でお願いします」と訴えたが、返ってきたのは「うちではできません」だった。病院を変えることを決めた。

 名古屋市昭和区の杉浦医院(内科・小児科・在宅医療)で湿潤療法が受けられることを知り、早速受診。森亮太院長は「これならきれいに治る」と、患部に付いた軟こうや水疱(すいほう)の皮をできるだけ除去。体に無害のワセリンと被覆材で患部を保護した。すると長女は、ぴたりと泣きやんだ。

 自宅では毎日、患部を水道水で洗い、ワセリンを塗った新しい被覆材と交換。森さんの指示で、痛みや腫れを伴う感染症に注意しながら続け、皮膚は徐々に再生。やけどから二十四日目には、ほぼ回復した。「湿潤療法を受けさせて良かった」と母親。一方「なぜ、大きな病院でできないのか」と不満をあらわにした。

 杉浦医院にはこの患者のほか、湿潤療法を求めて別の病院の形成外科や皮膚科の治療をやめて来る人が増えている。両科の治療に共通するのは軟こうとガーゼ。「この処置が皮膚の再生を妨げている」と森さんは言う。

     ◇

 湿潤療法の普及に努める練馬光が丘病院傷の治療センター(東京)の夏井睦医師は「軟こうの成分と、ガーゼによる乾燥が問題」と指摘する。

 いずれも感染を防ぐのが主な目的だが、軟こうに含まれる殺菌剤や界面活性剤は、皮膚や傷口の細胞を破壊する。ガーゼは空気を通すため、患部を乾燥させて、さらに治癒を遅らせる。激しい痛みは乾燥で起こり、患者に大きなダメージを与えると、夏井さんは考えている。

 こうした治療が行われるのは、日本熱傷学会が標準治療として認めているためだ。夏井さんは「結果的に傷を深くした上で、別の場所の皮膚を剥がして移植をしている。患者は、傷痕や触覚が鈍る後遺症にずっと苦しめられる」と話す。

 一方の湿潤療法のポイントは、患部とくっつかない無害の素材をかぶせ、滲出(しんしゅつ)液をとどめて乾燥を防ぐこと。毎日水洗いして、被覆材を交換すれば、感染症はほとんど防げるという。夏井さんは「治療結果から、患者の生活の質のレベルが違うはずだ」と強調。背中全面に負った重いやけども、湿潤療法で治した実績がある。

 日本熱傷学会に所属する中部地方のある医師も、皮膚移植に至る治療に疑問を感じている。「もし自分の娘がやけどしたら、皮膚移植は受けさせない」と漏らす。

 同学会理事の仲沢弘明・日本大医学部形成外科主任教授は「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)なしに、安易に皮膚移植が行われているのであれば大問題。ガイドラインについても検討する必要がある」とコメントした。

 夏井さんは、ホームページ「新しい創傷治療」で、湿潤療法が受けられる全国の医療機関を紹介している。

 

当院もヤケドに対して湿潤療法を行っています。

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